仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「それは私の話を聞いてるんじゃなくて、声を聞いてるんだよね?」

「同じようなものだろ」

「違うけど」

「怒ってる?」

「……怒ってない」

 かわいいは禁止だと以前言った気がするのに、むしろエスカレートしている。

 うれしいし夫婦関係の改善を望んでいたけれど、まさかここまでになるとは誰が想像できただろう。

 と、そのとき、和孝さんの手がごそりと動いた。

「はう」

 思わず変な声が出てしまい、いたずらに動く手を抑え込もうと丸くなる。

「だめ、だめ!」

「んー、なにが」

「……っん」

 ますます抱き込まれるばかりか、耳元で囁かれる。

 和孝さんは知っているのだ。私がそういうことに弱いということを。

「手……っ」

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