仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 くすぐるように動いていた手が寝間着の中に入ってきた。お腹をふにふにつままれ、ぺちんと手を叩く。

「こら」

「こらじゃない!」

「紗枝さんって、手が早いよな」

「和孝さんの方が早いでしょ……!」

「まあ、いろんな意味でそうかもしれないけど」

「ふあ」

 すすす、と服をまくられてまた変な声を出してしまった。

 悪い手を再びしつけようとしたものの、それより早く両手首を掴まれてしまう。

 和孝さんの手は大きい。だから片手だけで私の両手を封じるなんて簡単なことだった。

「ちょっ……」

「本当に、嫌?」

 腕を封じられた状態で後ろから囁かれ、挙句に耳の縁を噛まれる。

「嫌ならやめるよ」

 鼓膜を溶かすような甘い声のせいで背筋がぞくぞく震えた。

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