仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 和孝さんは本気でそう思って言っているから、私が嫌だと言えばすぐにやめてくれる。本格的に拒めば二度と触れないくらいは平気でしてくれるだろう。自分がどんなにそうしたいと思っていても、私のためなら我慢してくれるのが和孝さんという人だ。

 そして、私は抵抗こそしても本当の意味で嫌がっているわけではない。いつも流されて自分を保てなくなるのが嫌なだけ。

「嫌じゃない……嫌じゃない、けど……っ」

「じゃあ、どうしてほしい?」

「んんん」

 私を抑え込んでいない方の手が胸元に伸びてくる。

「紗枝さんのしてほしいことしかしないよ」

「手……離して……」

「もう叩かない?」

「叩かないから、ぁっ……」

 手が、触れてくる。

 私の身体に和孝さんの熱が移されて、どんどん熱くなっていく。

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