仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「だめ、の代わりに好きって言ってくれたら、俺ももう少し優しくしてあげられると思うよ」

「なんで意地悪するの……」

「紗枝さんが好きだから」

「ひう」

 びく、と大きく身体が跳ねる。

「好きって言って、紗枝さん」

「ううう……」

「言ってくれないなら最後までしない」

「くうぅ……」

「どこからそんな声を出してるんだ」

 呆れたような声が聞こえ、なぜか手を解放される。

 その段階で既に焦らされた身体にはもう力が入らなかった。ぐったりとシーツに身をゆだねていると、和孝さんがシャツを脱いで覆いかぶさってくる。

「最後までしなくていいのか?」

「やだ……」

 この人はとんでもない人だと心の中で思う。

< 335 / 394 >

この作品をシェア

pagetop