仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 優しいし気遣ってくれるし、穏やかで甘い人だけど、私を自分の思い通りにするのがうますぎる。強引にするならもっと荒っぽく乱暴にしてくれればいいのに、終始真綿でくるむように誘導してくる。

 だから私はいつまでも意地を張れない。あっさり陥落して、和孝さんを求めてしまう。

 その広い背中に腕を回しながら、自分でもわからないえぐえぐという声を出してキスをした。

「今日もいっぱいされたい……」

「うん。で、『好き』は?」

「和孝さんが言ってくれたら言う……」

「好き」

「ぎゃ」

「なんでいちいち悲鳴を上げるかな……」

 困ったように笑った顔が近付いて、私にとびきり甘いキスをくれた。

「ほら、言って」

「好きぃ……」

「もっと」

「一回しか言わない……」

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