仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
短編:キスに挑戦する夜
ソファの上で和孝さんの膝の上に乗る。足を広げて乗るのは恥ずかしいけれど、どうしてもこうしたい理由があった。
「今日は私がキスするからね」
「うん、頑張って」
結婚式の日、和孝さんは私からのキスを要求した。一応あのときに願いを叶えはしたものの、結局そのあとすぐ和孝さんにやり返されたのを考えると、成功したとは言い難い。
だから、私は今日勇気を出して和孝さんに言ってみたのだ。キスをするからじっとしていてほしい、と。
「俺からするのは絶対にだめなのか?」
「だめ。じゃないと、また失敗になっちゃうでしょ?」
「別に失敗だとは思わないけどな」
困ったように苦笑されて、ぐぬぬという気持ちが芽生える。
和孝さんは失敗だと思わなくても私は思ってしまうのだ。