仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う～御曹司は新妻への欲情を抑えない～

　もっと和孝さんが嫌がりそうなことを考えてみたものの、なかなか思いつかない。手料理をやめると言っても外食という手があるし、一緒に寝ないと言っても和孝さんなら勝手に私をベッドまで運びそうだ。

　必死に頭を巡らせた結果、とてつもなく子供っぽい答えが出る。

「じゃあ、和孝さんを嫌いになる……」

　ようやく思いついた答えを絞り出すと、私を見つめていた和孝さんがぷっと噴き出した。

「なれるのか？」

「うっ」

「なれるならなってみてくれ。もう一回惚れさせてみせるから」

「……もう好きにならないかも」

「俺が好きなんだから、また好きになってもらうよ。どんな手を使ってでも惚れさせる」

　自信ありげに言われてぐっと言葉に詰まった。