仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 素っ気なく聞こえる返答に頬が緩む。和孝さんがほんのり頬が染めているのを見てうれしくなった。

「俺も紗枝さんにいつでもときめいてるよ」

「たとえばどんなとき?」

「俺にときめくって言ってるとき」

 ピンポイントすぎて笑ってしまった。和孝さんも今、私にときめいていたようだ。

 既に結婚して夫婦になったとはいえ、恋人期間がなかったせいですぐ気持ちが盛り上がる。外ではあったけれど、和孝さんにくっつきたくて手を握った。

「ちょっとだけ触ってていい?」

「だったらこうしよう」

 そう言うと、和孝さんは手を繋ぎ直して指を絡めてくれた。手のひらを合わせるように重ねると、普通に繋ぐよりも密着度が高く、ただ繋ぐよりも幸せで満たされる。

「和孝さんは私を喜ばせるのが上手だねぇ……」

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