仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 感動してしみじみ言うと、ぷっと噴き出された。

「このぐらいで喜ぶ紗枝さんがちょろいんじゃないかな」

「和孝さん以外だったらこんなにちょろくないよ!」

「俺以外に喜ぶ紗枝さんは見たくないな」

 握った手に力を込められて気恥ずかしくなる。ほかの人には喜ばないでほしいという和孝さんの独占欲が、触れた手のぬくもりから伝わってくるようだった。

「よし、遅くなる前に決めるか」

「うん」

 改めてキャビネットの山に向き直る。

 もっとも、私はぴったりの品を探す和孝さんを見るのに忙しかった。



***



 帰宅した私たちは手ぶらだった。ちょうどいい品を見つけられなかったせいだ。

「また次の休みに見に行こう。気になる家具屋は?」

「うーん、特には」

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