仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
「無理に買わないっていう手もあるけど」

「それはそれでちょっと寂しい。せっかくふたりで選ぶ初の家具だし」

 ぽすんとソファに座って腕を組む。

「こうなったら海外まで行くしか……」

 真剣に考えて言ったのに、笑われてしまう。その笑みを優しい顔に残したまま、和孝さんは私を覗き込んできた。

「本当にそうする?」

「えっ?」

「海外。ふたりで行くか?」

 こちらを見つめる瞳にはおもしろがるような光があった。茶目っ気を見せてくるのは珍しくなかったけれど、どうもこれは冗談に聞こえない。

「新婚旅行?」

「そうだな、それでもいいし」

「新婚旅行とは別で行くつもりだったの?」

「旅行なんて何回しても楽しいだろ?」

 特に好きな人となら、と肩を抱き寄せられる。

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