仮面夫婦は今夜も溺愛を刻み合う~御曹司は新妻への欲情を抑えない~
 そういった希望をまとめ、各企業やスタッフと打ち合わせながら式を作り上げていくのが私たちウエディングプランナーの仕事である。そのため、いつもだったら奥様の希望を聞いてその通りにすれば問題なかった。

 でも、田中さんの奥様は困ったようにカタログを見ては途方に暮れるばかり。一生に一度のイベントなのに口を出してもいいのだろうかと思いながら、何度もおすすめを提案させてもらったものだった。

「お任せしてばかりで申し訳ありません」

 眉を下げながら謝罪していた田中さんも、ドレスを選ぶ頃にはぽつぽつと自分の意見を伝えるようになっていた。

「お色直しのドレスはここでレンタルしたいです。どの色が似合うと思いますか?」
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