アイイロの雨【中学生日記④】
 彼の席は、窓側のほぼ真ん中あたり。その机だけ、なぜだか明るく輝いて見えた。

 ずっと眺めていたい……
 そのすぐ後ろの席に座り、彼の背中を思い浮かべてみた。

 机の上に両腕を乗せ、うつ伏せ姿勢のまま、目の前の机を眺める。

あいつの顔が浮かんで見えた。
 恋しい顔が、いつものように少し照れながら笑っている……


来ぬ方の 後ろの席に 寝転びて
(そば)に座れし 十五の心


国語の授業で習ったばかりだった石川啄木の歌を、パロって詠んでみた。
 ちょっと、むなしくなる。


切ない…… 泣きたくなった。

 ぎゅっと、何かに心をわしづかみされる。一粒の涙が頬を伝った。
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