アイイロの雨【中学生日記④】
 横を見ると、窓ガラス一面に雨の雫がついている。その向こう側には、藍色めいたアジサイがぼやけて見えていた。

 アジサイの花言葉って、何だったっけ。梅雨に入るころ、奈緒は調べたことがあった。

 移り気。浮気。冷淡。高慢…… 

 ひどい言われ方。おそらく青が主体となり、微妙に変わってゆく色あいから来る印象なのだろう。
 あんまりだ。あまりにもアジサイが可哀想…… 

 ひとつだけ、心に残る花言葉があった。

 辛抱強い愛情。

 これだ。そう思った。
 いまのワタシにピッタリな言葉。
涙が流れ出たおかげか、心が落ち着きを取り戻した。

「何をやってもうまく行かない。まぁ、しょうがないか。そんな日もあるよね…… さ、もう帰ろ」
< 3 / 4 >

この作品をシェア

pagetop