シンクロニシティ【中学生日記】
自転車がエモくなるとき
「あ!」「え?」
あぁ、また……
二人とも自然と笑みがこぼれた。
「奈緒ちゃんって、チャリ通だったっけ?」
「ううん、今日だけ。でもパンクしちゃって……」
奈緒のうつむいた視線の先には、ぺちゃんこのタイヤがあった。
「遅刻しそうだったから、慌ててチャリったら……」
「あらら……とりあえず空気入れて、パンク・チェックしようか。体育倉庫に空気ポンプあるから」
幸い体育倉庫の扉に鍵は掛かっていなかった。ゴトゴト重い音をたて引戸を開ける。
湿った匂いが鼻をかすめた。ライン引きから白い粉がダラしなく溢れている。その白い粉、石灰が放っていたのだろうか。どこか懐かしい匂いだった。
テツローは、馴れた手つきで空気ポンプをセッティングする。
シュー、シュー…… ポンプから充填されて行く空気。
車輪がパンパンに戻る。だが作業はまだ終わらない。引き続きその外周の黒い表面を、テツローは丹念にチェックしていた。
「原因はバルブかな……」
そう呟くと、バルブと呼ばれる車輪内側に突き出た、空気充填口のネジを外しにかかった。
あぁ、また……
二人とも自然と笑みがこぼれた。
「奈緒ちゃんって、チャリ通だったっけ?」
「ううん、今日だけ。でもパンクしちゃって……」
奈緒のうつむいた視線の先には、ぺちゃんこのタイヤがあった。
「遅刻しそうだったから、慌ててチャリったら……」
「あらら……とりあえず空気入れて、パンク・チェックしようか。体育倉庫に空気ポンプあるから」
幸い体育倉庫の扉に鍵は掛かっていなかった。ゴトゴト重い音をたて引戸を開ける。
湿った匂いが鼻をかすめた。ライン引きから白い粉がダラしなく溢れている。その白い粉、石灰が放っていたのだろうか。どこか懐かしい匂いだった。
テツローは、馴れた手つきで空気ポンプをセッティングする。
シュー、シュー…… ポンプから充填されて行く空気。
車輪がパンパンに戻る。だが作業はまだ終わらない。引き続きその外周の黒い表面を、テツローは丹念にチェックしていた。
「原因はバルブかな……」
そう呟くと、バルブと呼ばれる車輪内側に突き出た、空気充填口のネジを外しにかかった。