寄り添って、そっと手を繋ごう
「えっ!お前振られたの?!なんで?」
まだ暑さの残る夏の夕方。もう19時になる頃だというのに、まだ明るさが残っている。
西向きの悟(さとる)の部屋には、夕陽が差し込んできて、クーラーをつけていても少し汗をかく。
「すげーいい感じだったじゃん。なのに、彼氏いるって?」
「いや…うん…俺も、知らなくて…」
本当は喜びの報告をするはずだった。俺も、悟もそのつもりだった。
今日出会った瞬間からニヤニヤが止まらなかった悟も、俺の報告を受けて真顔に戻ってしまった。
それがまた、振られた、という事実を突きつけられている気がして少しグッとくる。