寄り添って、そっと手を繋ごう


「まー、仁菜先輩?すっげー美人ってわけじゃないけど、今までだって彼氏いたんだろ?」

「先輩は可愛いよ」

すっげー美人ではないかもしれないけど、よく知りもしないお前が言うな、と思ってしまう。

「はいはい」

悟は、中学、高校で仲良くなり、同じ大学に進学した。部活も違ったし、クラスが何回か同じになったくらいで大きな接点があったわけでもないが、気が合うため、よく一瞬にいるようになった。

特に、大学に入ってからは、同じ高校出身の人が周りに多くなかったことが2人の関係を近づけた。

悟は運動も勉強もできるし、そこそこに顔も良い。加えて、結構いい奴。
中学からサッカー部に入り、今もサッカー系のサークルに所属していると聞いている。
大学生になって、明るい茶色にした髪の毛は、どうやら女子ウケがいいらしく、お前も染めたらどうかとやたら勧められたことがある。
一度染めたら、伸びてくる黒髪を隠すために定期的に染めなければならない。それが面倒で、お金がもったいなくて、そして自分に茶髪など似合うわけがない、と俺は何度も遠慮した。






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