好きじゃない
「お互い漫画読んだりスマホいじったりしてただけ」

無意識にミラーで前髪と眉毛を念入りにチェックしてた。

あれ?
意識してない?

「そもそもさ」と奈穂が私の方を見る。

「麻木蓮って何部?」

続けて若菜も「そういえば」と私を見る。

「知るかよ」

「部活入ってるイメージないねー」

突然、空きっぱなしの教室のドアが軽くトントンと打たれる。
私たちはハッとして一斉にドアに目を向けた。

「おわったよー」

独特のローペースな口調。
少し鋭い目。
落ち着いた笑み。
整いすぎてる顔立ちにほんの一瞬見とれる。

いかん。

私はカバンを手にゆっくり立ち上がる。

奈穂と若菜が私をじっと見つめてる。
口元に意味ありげな笑みを浮かべて。

『デート!』

若菜が口パクで言う。

『ちがう!』

私はそういうとドアに向かった。
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