好きじゃない
男友達
梅雨が明けて夏が来た。
夏服は少しださい。
最初は「似合わないねー」と蓮からも笑われた。
私には真っ白すぎる。
「もうあと8回学校来れば休みだー」
奈穂が伸びをする。
チラホラと「あっというまだー」と声を合わせる。
ほんとあっという間。
この3ヶ月間、何があっただろう。
私は特に何もなかった。
恋人もできないし。
出会いがない。
ぼんやりと今日もとりあえず奈穂と若菜と過ごす。
「梅雨明けた途端あつさヤバい」
ハンディファンを首から下げて、たまに当て合いっこをしながら駅まで歩く。
「アイスかなんか食べたい」
「ジェラート食いたい」
「どこにジェラート売ってるよ」
そうこう言いながら途中のコンビニに入る。
「なんかコンビニ入んの、久しぶりじゃない?」
私が両脇の奈穂と若菜を交互に見る。
「それはー」
「麻木蓮がうちらからカナを奪ってったからだよ」
若菜が言う。
「えー、それ?」
「いや自分で気付いてないだけで、まじで減ったから。一緒に帰るの。」
「でも」と奈穂が割り込む。
「それはお互い様じゃん?誰に彼氏できてもそっち優先していいっしょ。」
「いや、彼氏じゃないし」と言うものの無視された。
「まあねー既にもう二人の間に入り込めないし」
「そうそう、なんだかんだ二人の世界が出来上がってるもんね」
奈穂と若菜は雑誌から化粧品の方に移動してそれらを軽く眺めた後、冷凍庫の方に進んでいく。
そんな感じだったんだ、私たち。
アイスをそれぞれ買ってコンビニを出る。
食べ歩き。
「やっべー、すぐ溶けてくる」
若菜のアイスが溶けかかってる。
「ひーーー早く食べなきゃ」
騒ぎながら賑やかに駅まで歩いた。
駅で二人と分かれる。
それぞれここから先はバラバラだ。