好きじゃない
蓮の友達との花火は、いつのまにか奈穂と龍樹くんが中心となって話を進めてくれていた。

言い出しっぺは蓮と私だったのに。

待ち合わせは中央公園。
花火は奈穂と龍樹くんが買っててくれてるから、それぞれ自分の飲み物と食べ物を買って揃う。

駅からひたすらまっすぐ歩くと、中央公園はある。

夕方。
日も少しずつ暮れてきた頃。

もうすでに奈穂と龍樹くんがいた。

「わー、焼けたねー」

久しぶりの再会に声をあげる。

「おめでとー、付き合ったんだって?」

付き合って以来、初めてだ。

龍樹くんが鼻の下を伸ばす。
楽しそうだ。

「蓮は?」

ブーメランのごとく私に話題が戻ってきた。

「いや、別に何もないけど」

私もなるべくテンションを下げないように答える。

「あ、蓮だ」

奈穂が遠くを見て言う。
私もその方を振り向く。

公園の入り口からこっちに向かってくる姿が暗闇の中見えた。

「おー!!」

龍樹くんが声を張る。

蓮が「おーー!」と言いながら走って向かってきた。

そのまま龍樹くんと抱き合うように激しくぶつかり合った。

「なに、お前らもう付き合ったの?」

蓮も同じことを聞いた。
二人は照れ臭そうに頷く。

蓮は全く私と目を合わそうとしなかった。

なんだよ。

若菜と洸くんもそれぞれ直後に到着して、全員が揃った。

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