好きじゃない
文化祭初日はあっけなく終わった。
先生たちの出し物見て、間に露店眺めたり、カフェやってる教室で暇つぶしして、最後にミスミスターコンテスト見て盛り上がって。
5人くらいからナンパされて、連絡先渡されたけど、そのままゴミ箱行き。
懐かしい同中だった男もいた。
中学校時代仲良くなかったのに、急に連絡先渡されて笑う。
全然、手応えもなく1日が過ぎていく。
手にしてるパンフレットには眩しい蓮の絵。
私は空高く羽ばたく日が来るんだろうか。
こんな風に、一人一人の空を高く飛ぶんだろうか。
蓮は飛べるかもしれないけど、今の私には鮮やかな未来が見えない。
「さっきの人たちちょっと良かったよね」
解散後、廊下での立ち話中、若菜が言う。
他校のちょっと爽やかな男子だった。
「あー、結構良かったよね」
相槌を打つ。
けど、関係を発展させる気にはなれない。
奈穂が友達のやってるカフェから残ったタピオカ黒糖ミルクティーを運んできた。
龍樹くんはミスミスターコンテストに出場して、その化粧落とし中らしい。
「準優勝だったね」と声かけたら「そもそも出る時点でおかしいよね」と奈穂が謙遜した。
でもクラスを代表して出るのにふさわしいタイプだ。
「明日だよね」
奈穂が少し躊躇いがちに言う。
「ん?」
「蓮くんの、パフォーマンス。」
とても遠慮がちな声だ。
奈穂の言葉に、笑顔が固まったのが自分でも痛いほど分かった。
「私、龍樹と見る予定だし」
誘おうとしてるんだ。
「見るわけないよ」
私はそのままの笑顔で先に返した。
「見るわけない。」
余計好きになってどうするんだろう。
元カノの方を向いてる人を、余計好きになるなんて、つらい。
奈穂は「そっか」と言うと、それ以上何も言ってこなかった。
甘い甘いタピオカ黒糖ミルクティーが、身体中に染み渡る。
「なにこれ、うっま!」
私は大袈裟なリアクションをして、話題を逸らした。
本当はすごく、蓮のパフォーマンスが見たかった。
先生たちの出し物見て、間に露店眺めたり、カフェやってる教室で暇つぶしして、最後にミスミスターコンテスト見て盛り上がって。
5人くらいからナンパされて、連絡先渡されたけど、そのままゴミ箱行き。
懐かしい同中だった男もいた。
中学校時代仲良くなかったのに、急に連絡先渡されて笑う。
全然、手応えもなく1日が過ぎていく。
手にしてるパンフレットには眩しい蓮の絵。
私は空高く羽ばたく日が来るんだろうか。
こんな風に、一人一人の空を高く飛ぶんだろうか。
蓮は飛べるかもしれないけど、今の私には鮮やかな未来が見えない。
「さっきの人たちちょっと良かったよね」
解散後、廊下での立ち話中、若菜が言う。
他校のちょっと爽やかな男子だった。
「あー、結構良かったよね」
相槌を打つ。
けど、関係を発展させる気にはなれない。
奈穂が友達のやってるカフェから残ったタピオカ黒糖ミルクティーを運んできた。
龍樹くんはミスミスターコンテストに出場して、その化粧落とし中らしい。
「準優勝だったね」と声かけたら「そもそも出る時点でおかしいよね」と奈穂が謙遜した。
でもクラスを代表して出るのにふさわしいタイプだ。
「明日だよね」
奈穂が少し躊躇いがちに言う。
「ん?」
「蓮くんの、パフォーマンス。」
とても遠慮がちな声だ。
奈穂の言葉に、笑顔が固まったのが自分でも痛いほど分かった。
「私、龍樹と見る予定だし」
誘おうとしてるんだ。
「見るわけないよ」
私はそのままの笑顔で先に返した。
「見るわけない。」
余計好きになってどうするんだろう。
元カノの方を向いてる人を、余計好きになるなんて、つらい。
奈穂は「そっか」と言うと、それ以上何も言ってこなかった。
甘い甘いタピオカ黒糖ミルクティーが、身体中に染み渡る。
「なにこれ、うっま!」
私は大袈裟なリアクションをして、話題を逸らした。
本当はすごく、蓮のパフォーマンスが見たかった。