好きじゃない
そう思った時、最前列で蓮のことを見てる一人の人間に目が止まった。

元カノだった先輩だ。

相変わらず美人な先輩は、一番前で蓮のことを見てた。

時が止まった。

やっぱり見にくるんじゃなかった。

手持ち花火を持ちながら、私に向かってまっすぐ「ちょっと頑張ってみようかな」と言った蓮の声を思い出す。

ちゃんと上手くいってんじゃん。

私は後退りするようにその場を去る。

階段を駆け上がると、さっきまでいた休憩室に助けを求めるように駆け込んだ。

休憩室には誰もいない。

遠くから聞こえる音楽と歓声。

苦しいほど蓮がかっこよくて、先輩は美人だった。

私の入る隙なんて全然ない。
こんなに遠い関係になっちゃった。

しばらくして音楽が消えた。
人の歓声も遠くなった。

終わったんだ。

もしかしたら、蓮と先輩は一緒に校内を回ってるのかもしれない。

そんなのに会いたくない。

今、体育館に逃げようかな。
体育館の出し物とか、たぶん見ないだろうし。

フラフラと立ち上がると、私はそのまま休憩室を出た。

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