好きじゃない
体育館の出し物は演劇部の劇だった。
ほとんど誰も見ていない。

丁度いい。

体育館全体が暗くて落ち着く。
ステージ上だけにスポットが当たってる。

私はしばらく一人で体育館から出ないことにした。

こんなにつまんない文化祭がある?

演劇部から吹奏楽部に代わるタイミングで20分の休憩が入った。

トイレに行こうと立ち上がった時、出入り口から蓮と先輩が入ってくるのが見えた。

二人とも顔を見つめ合って笑ってる。
すごく楽しそう。
こうやって見るとなんてお似合いなんだろう。

こんなデート現場を見せつけてくるなんて。

痛い痛い痛い痛い。

二人はそのまま体育館の後ろの方に向かっていく。
私は気付かれないように体育館を出た。

後夜祭、どうしようかな。
さっさと帰ろうかな。

そんなことを思いながら。
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