好きじゃない
後夜祭が始まる。
私は最初のバンドの演奏途中で体育館から出る。
今日はもう帰ろう。
若菜に一言言って、私はカバンを持って立った。
若菜はクラスの他の女子と楽しそうに演奏に聴き入っていた。
後夜祭まで残ってるのは半分くらい。
蓮の姿は見えなかった。
昇降口へ向かう。
その途中、片付けが中途半端な状態の美術室の前を通る。
蓮が描いた絵、結局ちゃんと見てないな。
美術室の前で足が止まる。
今なら誰もいない美術室。
絵を見るチャンスだ。
中途半端に開きっぱなしのドアをゆっくり開ける。
当然真っ暗な中、月の光で照らされた室内。
いろんな生徒の絵画が暗闇に浮かぶ。
その奥に、今日のパフォーマンスで描いたベニヤ板とブロックが無造作に置かれっぱなしになってる。
座る男の子と女の子。
「THIS IS YOU & ME」の文字。
ふうん、と思いながら、大きなキャンバスの医者の絵に目を向ける。
あの時、昼休み中に蓮が向き合ってた絵だ。
月が描き足されて、これが夜だと分かる。
月の光を上手く反映してる水面。
ほのかにカーテンの向こうから実際の月が絵を照らす。
少しだけ反射する箇所があった。
透明の液体で描かれているところだ。
私はそっとその上をなぞる。
「わっ!」
突然の声に驚いて振り向く。
声の主も暗闇の中の私に驚いてるようだ。
「・・・カナ?」
驚いてる声の正体は蓮だった。
私はハッとして急いで絵から離れる。
「ごめん、勝手に入ってた」
蓮は驚いて「ああ」と言うだけ。
私は急いで美術室から出ようとした。
蓮とすれ違う。
蓮が私の腕を掴んだ。
驚いて蓮の顔を見る。
蓮が小さく口を開く。
「ダメだったわ」
小さく響く蓮の声。
私は最初のバンドの演奏途中で体育館から出る。
今日はもう帰ろう。
若菜に一言言って、私はカバンを持って立った。
若菜はクラスの他の女子と楽しそうに演奏に聴き入っていた。
後夜祭まで残ってるのは半分くらい。
蓮の姿は見えなかった。
昇降口へ向かう。
その途中、片付けが中途半端な状態の美術室の前を通る。
蓮が描いた絵、結局ちゃんと見てないな。
美術室の前で足が止まる。
今なら誰もいない美術室。
絵を見るチャンスだ。
中途半端に開きっぱなしのドアをゆっくり開ける。
当然真っ暗な中、月の光で照らされた室内。
いろんな生徒の絵画が暗闇に浮かぶ。
その奥に、今日のパフォーマンスで描いたベニヤ板とブロックが無造作に置かれっぱなしになってる。
座る男の子と女の子。
「THIS IS YOU & ME」の文字。
ふうん、と思いながら、大きなキャンバスの医者の絵に目を向ける。
あの時、昼休み中に蓮が向き合ってた絵だ。
月が描き足されて、これが夜だと分かる。
月の光を上手く反映してる水面。
ほのかにカーテンの向こうから実際の月が絵を照らす。
少しだけ反射する箇所があった。
透明の液体で描かれているところだ。
私はそっとその上をなぞる。
「わっ!」
突然の声に驚いて振り向く。
声の主も暗闇の中の私に驚いてるようだ。
「・・・カナ?」
驚いてる声の正体は蓮だった。
私はハッとして急いで絵から離れる。
「ごめん、勝手に入ってた」
蓮は驚いて「ああ」と言うだけ。
私は急いで美術室から出ようとした。
蓮とすれ違う。
蓮が私の腕を掴んだ。
驚いて蓮の顔を見る。
蓮が小さく口を開く。
「ダメだったわ」
小さく響く蓮の声。