月に魔法をかけられて
瞳子さんも今日のパーティー楽しみなのかな?
いつも以上に声が明るかったよね。
私は副社長に瞳子さんとこれからパーティーの打ち合わせをすることと、出発までには戻ることを告げると、ノートと筆記用具、着替えを持って12階の会議室へと向かった。
*****
コンコンコン──。
「失礼します」
会議室の前でノックをして扉を開ける。
すると、いきなり異様な光景が目に入ってきた。
なんと、会議室のテーブルの上には大きな鏡やたくさんのメイク道具が置かれ、にこやかな顔で私を見つめる瞳子さんと2名の美容部員さん、首にケープをされてすっぴんになったあゆみちゃんが椅子に座っていたのだ。
「と、瞳子さん……、パーティーの打ち合わせじゃ……」
私は状況が理解できずに、笑顔で私を見ている瞳子さんに尋ねた。
「そう。打ち合わせもするわよ。その前にね、今日のパーティーはクリスマスコフレのパーティーでもあるけど、新色コスメの発表も兼ねてるの。実はコスメの発売が前倒しになってね。年明けの発売予定だったのが12月10日になったの。だから2人には新色のメイクをしてもらおうと思って……。ほらっ、私も新色のパールゴールドつけてるの」
瞳子さんが、自分の目元のアイシャドウを指さす。
色っぽい瞳子さんには、艶感のある新色のパールゴールドのメイクがとても似合っていた。
「わっ、瞳子さん素敵……」
思わず心の声が零れる。
「ありがとねー。美月ちゃんにそう言ってもらえて私も嬉しいわ。今日は美月ちゃんとあゆみちゃんが半分メインだからね」
「半分メイン?」
「そう。今回の新色は『潤いのある艶感と品のある発色』をコンセプトにしたアイシャドウとリップの3色が出るでしょ。
パールローズは武田絵奈が新作CMと一緒に紹介するんだけど、あとの2色は紹介できないじゃない? だから2人には急遽モデルになってもらおうと思ってね。パールゴールドはあゆみちゃん。美月ちゃんにはこの間と同じパールピンクでメイクしてもらおうと思うの」
「モデル……?」
「そう、モデル。会場のステージにあがってもらうの。会場のスクリーンに映して、招待客に艶感や発色、パールの輝きや、それぞれの色の違いについて分かってもらうためにね」
「えっ? そんなの無理ですよー。瞳子さん」
私が首を横に振りながら即座に拒否をすると、すっぴんのあゆみちゃんがすかさず口を開いた。
「美月先輩、大丈夫ですよ。今回は私もいますから! 早く美容部員さんにメイクしてもらいましょー」
あゆみちゃんはノリノリでこの状況を楽しんでいるようだ。
いつも以上に声が明るかったよね。
私は副社長に瞳子さんとこれからパーティーの打ち合わせをすることと、出発までには戻ることを告げると、ノートと筆記用具、着替えを持って12階の会議室へと向かった。
*****
コンコンコン──。
「失礼します」
会議室の前でノックをして扉を開ける。
すると、いきなり異様な光景が目に入ってきた。
なんと、会議室のテーブルの上には大きな鏡やたくさんのメイク道具が置かれ、にこやかな顔で私を見つめる瞳子さんと2名の美容部員さん、首にケープをされてすっぴんになったあゆみちゃんが椅子に座っていたのだ。
「と、瞳子さん……、パーティーの打ち合わせじゃ……」
私は状況が理解できずに、笑顔で私を見ている瞳子さんに尋ねた。
「そう。打ち合わせもするわよ。その前にね、今日のパーティーはクリスマスコフレのパーティーでもあるけど、新色コスメの発表も兼ねてるの。実はコスメの発売が前倒しになってね。年明けの発売予定だったのが12月10日になったの。だから2人には新色のメイクをしてもらおうと思って……。ほらっ、私も新色のパールゴールドつけてるの」
瞳子さんが、自分の目元のアイシャドウを指さす。
色っぽい瞳子さんには、艶感のある新色のパールゴールドのメイクがとても似合っていた。
「わっ、瞳子さん素敵……」
思わず心の声が零れる。
「ありがとねー。美月ちゃんにそう言ってもらえて私も嬉しいわ。今日は美月ちゃんとあゆみちゃんが半分メインだからね」
「半分メイン?」
「そう。今回の新色は『潤いのある艶感と品のある発色』をコンセプトにしたアイシャドウとリップの3色が出るでしょ。
パールローズは武田絵奈が新作CMと一緒に紹介するんだけど、あとの2色は紹介できないじゃない? だから2人には急遽モデルになってもらおうと思ってね。パールゴールドはあゆみちゃん。美月ちゃんにはこの間と同じパールピンクでメイクしてもらおうと思うの」
「モデル……?」
「そう、モデル。会場のステージにあがってもらうの。会場のスクリーンに映して、招待客に艶感や発色、パールの輝きや、それぞれの色の違いについて分かってもらうためにね」
「えっ? そんなの無理ですよー。瞳子さん」
私が首を横に振りながら即座に拒否をすると、すっぴんのあゆみちゃんがすかさず口を開いた。
「美月先輩、大丈夫ですよ。今回は私もいますから! 早く美容部員さんにメイクしてもらいましょー」
あゆみちゃんはノリノリでこの状況を楽しんでいるようだ。