月に魔法をかけられて
「彩矢は絶対大丈夫だよ。私が保証する。今はね、まだ彩矢の運命の人に出逢ってないだけだよ。私の保証なんて何の役にも立たないけど……。
でもね、きっとそう。まだ彩矢と合う人に出逢ってないだけ。それにね、私、彩矢に相応しい男の人じゃないと認めないからね。こんな私の大切な彩矢なんだから……」

そう言いながら、なぜか段々と目がウルウルしてくる。

「美月ぃ……。ありがとう………」

彩矢が半泣きになりながら抱きついてきた。

そして。

「私も美月のことをすごく大切にしてくれる男性じゃないと認めないからね!」

「えっ……。私は………」

急に自分のことを言われ、言葉に詰まってしまう。

私はうっすらと微笑みながら小さく首を振った。

「私は……、やっぱり誰かと付き合うのが怖いんだよね……。だから一生ひとりでもいいかなって思ってるんだけど、やっぱりこういう雰囲気のバーに来ると、彼氏と一緒に来てみたいなって思っちゃうよね……」

「美月……」

彩矢が何か言いたそうな顔をして、悲しそうに私を見つめる。

私は自嘲気味に笑いながら目の前のグラスを手に持つと、グラスの中の氷がカランと音を立てた。
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