月に魔法をかけられて
「ど、どうぞ……」
玄関でヒールの靴を脱ぎ、急いでスリッパを出す。
「お邪魔します」
副社長はそう言って自分の脱いだ靴を揃えると、私の後ろについて部屋に入ってきた。
ひとり暮らしの私の1Kの部屋。
男性を部屋に入れるなんて初めてのことだ。
『いつもごはんは外食とコンビニ』という副社長の話を聞いて何も考えずつい言ってしまったものの、ものすごく緊張してきた。
玄関を入って左右にある浴室とトイレの前を通り部屋との仕切りの中扉を開けると、テレビやベッド、ドレッサーやソファーが置かれた12畳の見慣れた部屋が現れた。
見慣れた部屋なのに、副社長がいるというだけで、どういうわけか他人の部屋のように思えてくる。
「なんか、緊張するな……」
副社長は照れたような笑みを浮かべて私を見た。
「ふ、副社長のお部屋に比べたらすっごく狭くて申し訳ないんですけど、どこでも好きなとこに座ってください」
そう言いながら、エアコンのスイッチを押し、ホットカーペットのスイッチを入れる。
すぐにエアコンがウィーンと音を立て始めた。
「寒いですよね? すぐに暖かくなると思いますのでもう少しだけお待ちください。これ、ブランケットです。お膝にどうぞ……。あっ、温かいお茶飲まれますか? すぐ入れますね……。あっ、そうだ、テレビ……」
私はどうしていいかわからず、あちこち動き回っていた。
玄関でヒールの靴を脱ぎ、急いでスリッパを出す。
「お邪魔します」
副社長はそう言って自分の脱いだ靴を揃えると、私の後ろについて部屋に入ってきた。
ひとり暮らしの私の1Kの部屋。
男性を部屋に入れるなんて初めてのことだ。
『いつもごはんは外食とコンビニ』という副社長の話を聞いて何も考えずつい言ってしまったものの、ものすごく緊張してきた。
玄関を入って左右にある浴室とトイレの前を通り部屋との仕切りの中扉を開けると、テレビやベッド、ドレッサーやソファーが置かれた12畳の見慣れた部屋が現れた。
見慣れた部屋なのに、副社長がいるというだけで、どういうわけか他人の部屋のように思えてくる。
「なんか、緊張するな……」
副社長は照れたような笑みを浮かべて私を見た。
「ふ、副社長のお部屋に比べたらすっごく狭くて申し訳ないんですけど、どこでも好きなとこに座ってください」
そう言いながら、エアコンのスイッチを押し、ホットカーペットのスイッチを入れる。
すぐにエアコンがウィーンと音を立て始めた。
「寒いですよね? すぐに暖かくなると思いますのでもう少しだけお待ちください。これ、ブランケットです。お膝にどうぞ……。あっ、温かいお茶飲まれますか? すぐ入れますね……。あっ、そうだ、テレビ……」
私はどうしていいかわからず、あちこち動き回っていた。