月に魔法をかけられて
「なあ、美月。少しは落ち着いたら？　会社ではしっかりしてるのに、家ではこんな感じなのか？」

そんな私を見て副社長がクスクスと笑う。

「そ、そうじゃなくて……。こんなときどうしたらいいのかわからなくて……。こんな風に男の人がお家に来るのって初めてだから……。あっ、普通こういうときって今までの彼女さんはどうされてました？」

そう言った途端、副社長は呆れたような視線を私に向けた。

「お前さ、ほんとに俺のことを……」

「えっ？」

「もういいから。俺は適当にするから、先に風呂に入って着替えてからにしろ」

「いや、今からごはん作ります。副社長をお待たせしちゃうし……」

「飯は後でいいから。昨日からのメイクも早く落としたいだろ？」

「す、すみません。ありがとうございます。じゃあ、ごはんだけセットしたら急いで入ってきますね」

私はお米を研いで炊飯器をセットすると、急いで着替えを持って浴室へ向かった。
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