月に魔法をかけられて
「そろそろ帰ろうかな……」
私からゆっくりと身体を離しながら、副社長がひとりごとのように呟いた。
(えっ……?)
甘くて夢のような時間から急に現実に引き戻され、何とも言えない寂しさを感じてしまう。
「どうした美月? 俺が帰るのが寂しい?」
温かい微笑みを浮かべて、私の髪を優しく撫でる。
「そんな顔するなよ。帰りづらくなるだろ」
「す、すみません……」
「いや、これ以上いたらさ、今度は俺がここに泊まってしまいそうだしな」
副社長は自嘲するような表情を向けると、『また来るよ』とでも言うようにポンポンと私の肩に両手を置き、立ち上がった。
「じゃ、じゃあ、下までお送りします」
慌てて私も立ち上がる。
すると。
「美月は玄関まででいいから。そんな恰好で外に出る気か?」
副社長が不機嫌な視線を私の服装に向ける。
「あっ、そっか。上着……」
クローゼットから上着を出そうとすると、後ろから腕を掴まれた。
「そうじゃなくて。そんな短いスカート履いて、身体のラインが出るようなニットを着て、外に出るなって言ってんの。まさか、会社以外はこんな恰好をして外に出てるのか?」
「こんな恰好?」
上から自分の服装を確認したあとで、副社長の顔を見る。
「はい。お休みの日にコンビニとかスーパーに行くときはこんな感じですけど……」
副社長は、はぁーとうなだれるように大きな溜息をついたあと、片手をおでこにつけた。
私からゆっくりと身体を離しながら、副社長がひとりごとのように呟いた。
(えっ……?)
甘くて夢のような時間から急に現実に引き戻され、何とも言えない寂しさを感じてしまう。
「どうした美月? 俺が帰るのが寂しい?」
温かい微笑みを浮かべて、私の髪を優しく撫でる。
「そんな顔するなよ。帰りづらくなるだろ」
「す、すみません……」
「いや、これ以上いたらさ、今度は俺がここに泊まってしまいそうだしな」
副社長は自嘲するような表情を向けると、『また来るよ』とでも言うようにポンポンと私の肩に両手を置き、立ち上がった。
「じゃ、じゃあ、下までお送りします」
慌てて私も立ち上がる。
すると。
「美月は玄関まででいいから。そんな恰好で外に出る気か?」
副社長が不機嫌な視線を私の服装に向ける。
「あっ、そっか。上着……」
クローゼットから上着を出そうとすると、後ろから腕を掴まれた。
「そうじゃなくて。そんな短いスカート履いて、身体のラインが出るようなニットを着て、外に出るなって言ってんの。まさか、会社以外はこんな恰好をして外に出てるのか?」
「こんな恰好?」
上から自分の服装を確認したあとで、副社長の顔を見る。
「はい。お休みの日にコンビニとかスーパーに行くときはこんな感じですけど……」
副社長は、はぁーとうなだれるように大きな溜息をついたあと、片手をおでこにつけた。