月に魔法をかけられて
「みづきぃー」
「んっ?」
返事をするものの、啓太くんは内緒話でもするように、もう一度口元に手を添えて私を呼ぶ。
何か内緒で話したいことがあるのかと思い、自分の耳を啓太くんの顔の近くに寄せて「なあに?」と微笑むと、
「みづき。すき」
啓太くんが耳元で囁いた。
突然小さな男のからそんなことを言われ、目を丸くしながら啓太くんに視線を向けようとすると、
ちゅっ──。
啓太くんの唇が、私の頬に触れた。
「えっ…………?」
その瞬間、大人4人が大きく目を見開いて固まった。
『こら、啓太──!』
瞳子さんと直人さんの声が重なる。
真っ赤になる私と、うれしそうに口元に手を当ててウヒヒーと笑っている啓太くん。
そして、びっくりした表情で呆然と私たちを見つめている副社長。
「啓太、早くパパの横に座りなさい!」
瞳子さんは啓太くんの身体を抱き上げると、強制的に直人さんの横に座らせた。
すぐに椅子から降りようとする啓太くん。
その様子を見て、今度は直人さんが口を開いた。
「啓太! ママの言うことが聞けないのなら、あとでパパが注射をするぞ! 啓太が大嫌いな大きな注射だからな!」
啓太くんを窘めるように直人さんが少し怖い顔をして啓太くんを見つめる。
直人さんのその表情に、啓太くんは口を尖らせてしゅんとした顔になり、やっとおとなしくなった。
「んっ?」
返事をするものの、啓太くんは内緒話でもするように、もう一度口元に手を添えて私を呼ぶ。
何か内緒で話したいことがあるのかと思い、自分の耳を啓太くんの顔の近くに寄せて「なあに?」と微笑むと、
「みづき。すき」
啓太くんが耳元で囁いた。
突然小さな男のからそんなことを言われ、目を丸くしながら啓太くんに視線を向けようとすると、
ちゅっ──。
啓太くんの唇が、私の頬に触れた。
「えっ…………?」
その瞬間、大人4人が大きく目を見開いて固まった。
『こら、啓太──!』
瞳子さんと直人さんの声が重なる。
真っ赤になる私と、うれしそうに口元に手を当ててウヒヒーと笑っている啓太くん。
そして、びっくりした表情で呆然と私たちを見つめている副社長。
「啓太、早くパパの横に座りなさい!」
瞳子さんは啓太くんの身体を抱き上げると、強制的に直人さんの横に座らせた。
すぐに椅子から降りようとする啓太くん。
その様子を見て、今度は直人さんが口を開いた。
「啓太! ママの言うことが聞けないのなら、あとでパパが注射をするぞ! 啓太が大嫌いな大きな注射だからな!」
啓太くんを窘めるように直人さんが少し怖い顔をして啓太くんを見つめる。
直人さんのその表情に、啓太くんは口を尖らせてしゅんとした顔になり、やっとおとなしくなった。