月に魔法をかけられて
「ご、ごめん、美月……。こんなに激しくするつもりはなかったんだけど、つい……」

私の頭を撫でながら、副社長が耳元で囁く。

私はゆっくりと身体を離すと、副社長に視線を向けた。

何も考えられず、ぼうっーとしながら、副社長の顔を見る。

心臓がドクンドクンドクンドクンと音を立てているせいか、自分の呼吸が荒い。

「壮真……さん………」

名前を呼ぶと、副社長は困ったような表情を向けた。

「美月、そんな色っぽい顔して名前呼ばれたら……、我慢できなくなる………」

「我慢……?」

ぼうっーとして思考が働かないまま、聞き返す。

「ああ。このまま美月のこと抱いてしまいたいのを、今必死で抑えてるから……。このまま流れで抱くのは嫌なんだ。美月のこと、きちんと大切に抱きたいから……」

その言葉を聞いて、頭はぼうっーとしながらも、また身体全体が熱を帯びてきた。

副社長がふわりと私を抱き締める。

「だけど、そんなに我慢はできないからな」

ギュッと腕に力を入れながら、私の耳元で小さく呟いた。
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