月に魔法をかけられて
──♪♪♬♫♩…… ♬♫♩♪♫……──
突然壁掛け時計から、『A Whole New World』の曲が流れ始めた。
急に鳴りだした音にびっくりしながら時計に目をやると、お昼の12時になったところだった。
「わっ、もう12時なんだ……」
「12時か……。美月、昼飯どうする? どこか食べに行く?」
「実はあんまりお腹が空いてなくて……。ここで作ってもいいですか?」
窺うように、副社長の顔を見る。
「ああ、それは構わないけど。何か作ってくれるの?」
「さっき瞳子さんから冷蔵庫の中を見せてもらったら、冷凍のおうどんがあったので……。お正月だけど、おうどんでもいい?」
「もちろんいいよ。ありがとう」
私はキッチンに行くと、冷蔵庫から冷凍うどんとネギを取り出すと、朝の残りのお雑煮の汁でうどんを作り始めた。
お雑煮の汁には既に鶏肉やしめじが入っており、追加でおせちの中から、かまぼことエビを取り出してうどんの具に添える。
最後に卵を落とすと、10分もしないうちに、熱々のうどんが出来上がった。
お盆に乗せてテーブルの上に持って行く。
お茶と七味をセットして、副社長に声をかけた。
「壮真さん、出来ました」
「えっ? もうできたのか? はやっ」
「すみません……。簡単すぎて……」
「いや、そういう意味じゃなくて……。こんなに早くできるもんなんだな」
副社長は頭を掻きながらうどんが置かれた椅子へと座った。
「どうぞ……。おうどんだけで申し訳ないんですけど………」
「そんなことないよ。こんなにいっぱい具が入ってるじゃん」
そう言ってニコッと微笑むと、いただきますと手を合わせて箸を持った。
「旨っ。美月って料理が上手いよな」
スルスルっとうどんを啜りながら、美味しそうに口を動かす。
「これは私が作ったんじゃなくて、瞳子さんが作ってくれていた朝のお雑煮の残りで作ったものです。瞳子さんって料理が上手ですよね」
私もうどんを口に運びながら、うどんに絡んだ汁を味わう。
「えっ? 瞳子が作った雑煮の汁? そう言われるとそうかもしれないけど、うどんとして出てきたら分からないもんだな」
副社長はあっという間にうどんを平らげると、「あー旨かった」と言って箸を置いた。
突然壁掛け時計から、『A Whole New World』の曲が流れ始めた。
急に鳴りだした音にびっくりしながら時計に目をやると、お昼の12時になったところだった。
「わっ、もう12時なんだ……」
「12時か……。美月、昼飯どうする? どこか食べに行く?」
「実はあんまりお腹が空いてなくて……。ここで作ってもいいですか?」
窺うように、副社長の顔を見る。
「ああ、それは構わないけど。何か作ってくれるの?」
「さっき瞳子さんから冷蔵庫の中を見せてもらったら、冷凍のおうどんがあったので……。お正月だけど、おうどんでもいい?」
「もちろんいいよ。ありがとう」
私はキッチンに行くと、冷蔵庫から冷凍うどんとネギを取り出すと、朝の残りのお雑煮の汁でうどんを作り始めた。
お雑煮の汁には既に鶏肉やしめじが入っており、追加でおせちの中から、かまぼことエビを取り出してうどんの具に添える。
最後に卵を落とすと、10分もしないうちに、熱々のうどんが出来上がった。
お盆に乗せてテーブルの上に持って行く。
お茶と七味をセットして、副社長に声をかけた。
「壮真さん、出来ました」
「えっ? もうできたのか? はやっ」
「すみません……。簡単すぎて……」
「いや、そういう意味じゃなくて……。こんなに早くできるもんなんだな」
副社長は頭を掻きながらうどんが置かれた椅子へと座った。
「どうぞ……。おうどんだけで申し訳ないんですけど………」
「そんなことないよ。こんなにいっぱい具が入ってるじゃん」
そう言ってニコッと微笑むと、いただきますと手を合わせて箸を持った。
「旨っ。美月って料理が上手いよな」
スルスルっとうどんを啜りながら、美味しそうに口を動かす。
「これは私が作ったんじゃなくて、瞳子さんが作ってくれていた朝のお雑煮の残りで作ったものです。瞳子さんって料理が上手ですよね」
私もうどんを口に運びながら、うどんに絡んだ汁を味わう。
「えっ? 瞳子が作った雑煮の汁? そう言われるとそうかもしれないけど、うどんとして出てきたら分からないもんだな」
副社長はあっという間にうどんを平らげると、「あー旨かった」と言って箸を置いた。