月に魔法をかけられて
この判断、正しかったんだよね?

副社長を部屋に連れてきたものの、果たしてこの判断が本当に良かったのかどうか不安になる。

もし警察に連れていかれたり、週刊誌のネタになったりしたら、副社長の進退にも関わるかもしれないもんね……。

うん。これで……、これで良かったんだよ……。

私は自分を納得させるように、何度も自分にそう言い聞かせていた。

それより、私はこれからどうしよう……。

副社長と一緒にここで寝るわけにもいかないし、帰る……?

でも、こんな時間に今から帰るのなんてちょっと怖いし……。

副社長に視線を向けると、全く起きる気配なんてさらさらなく、整った顔をして眠っている。

イケメンって寝てる姿もイケメンなんだね……。

会社では決して見ることのできない無防備に寝ている姿を見て、なんだか可笑しくなり、クスリと笑みが零れた。

それにしてもよっぽど疲れてるんだろうなー。

さっき、今日の会食は長かったって言ってたけど、相手は誰だっけ?

あっ、フジモリビューティーの社長だ。
副社長、あの女社長につかまってたんだ……。
そりゃあ、会食時間が長引くよね……。

イケメン大好きで、胸を強調する露出度の高い服を着て、フェロモン満載のグイグイくるあの女性社長を思い出して、私は副社長に憐憫のまなざしを送った。
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