月に魔法をかけられて
「美月、今日からは電車でなくて、俺の車に一緒に乗って行けよ」
さっきまでシャワーを浴びていた副社長が、ワイシャツに着替え、ネイビーのネクタイを締めながらリビングへと入ってきた。
久しぶりに見る副社長のスーツ姿に、思わず見惚れてしまう。
珍しい格子柄のネクタイだなと思ってよく見たら、目立たないGのマークで作られた格子柄だった。
「美月、聞いてる? どうした?」
椅子に座り、首元でネクタイの位置を整えながら、涼やかな視線を私に向ける。
ドクンと胸の奥がざわめき始めた。
「あっ、いえ、やっぱりかっこいいなーと思って……」
無意識に口から零れ落ちた言葉に、カーッと顔が熱くなり、あっ……、と口元を覆ってしまう。
「朝からうれしいこと言ってくれるよな。俺が会社でニヤけてたら、美月のせいだからな」
副社長は口角を上げて気持ちいいほどのかっこいい笑顔を振りまいた。
その笑顔に私の胸はさらに慌ただしくなり、私は急いでコーヒーをマグカップに注ぎ始めた。
「これ、食っていいの?」
副社長がテーブルの上に置いてあるホットドックを指さす。
「あ、どうぞ。たいした朝ごはんじゃなくて本当に申し訳ないんですけど……」
私はマグカップに注いだコーヒーと一緒に、冷蔵庫からヨーグルトを取り出すと、テーブルに置いた。
いつものように、『いただきます』ときれいに手を合わせたあと、ホットドックをパクリと頬張る。
副社長はもぐもぐと口を動かしながら手に持っている残りの半分を見つめたあと、私に視線を動かした。
「たいした朝ごはんじゃないって言ってるけど、手が込んでるじゃん」
「手なんか全然込んでません。パンとソーセージを焼いて、キャベツと一緒にはさんだだけですから」
既に1個目を食べ終えた副社長は、2つ目のホットドックに手を伸ばし、口に入れていた。
さっきまでシャワーを浴びていた副社長が、ワイシャツに着替え、ネイビーのネクタイを締めながらリビングへと入ってきた。
久しぶりに見る副社長のスーツ姿に、思わず見惚れてしまう。
珍しい格子柄のネクタイだなと思ってよく見たら、目立たないGのマークで作られた格子柄だった。
「美月、聞いてる? どうした?」
椅子に座り、首元でネクタイの位置を整えながら、涼やかな視線を私に向ける。
ドクンと胸の奥がざわめき始めた。
「あっ、いえ、やっぱりかっこいいなーと思って……」
無意識に口から零れ落ちた言葉に、カーッと顔が熱くなり、あっ……、と口元を覆ってしまう。
「朝からうれしいこと言ってくれるよな。俺が会社でニヤけてたら、美月のせいだからな」
副社長は口角を上げて気持ちいいほどのかっこいい笑顔を振りまいた。
その笑顔に私の胸はさらに慌ただしくなり、私は急いでコーヒーをマグカップに注ぎ始めた。
「これ、食っていいの?」
副社長がテーブルの上に置いてあるホットドックを指さす。
「あ、どうぞ。たいした朝ごはんじゃなくて本当に申し訳ないんですけど……」
私はマグカップに注いだコーヒーと一緒に、冷蔵庫からヨーグルトを取り出すと、テーブルに置いた。
いつものように、『いただきます』ときれいに手を合わせたあと、ホットドックをパクリと頬張る。
副社長はもぐもぐと口を動かしながら手に持っている残りの半分を見つめたあと、私に視線を動かした。
「たいした朝ごはんじゃないって言ってるけど、手が込んでるじゃん」
「手なんか全然込んでません。パンとソーセージを焼いて、キャベツと一緒にはさんだだけですから」
既に1個目を食べ終えた副社長は、2つ目のホットドックに手を伸ばし、口に入れていた。