月に魔法をかけられて
なんだろう。この心の中から溢れてくる思い……。

愛しさ、尊敬、好きという気持ち……。

いろんな思いが合わさり、心の中が幸せに満ち溢れ、温かくなる。


「壮真さん、ありがとうございます。私、壮真さんのそばに一緒にいられて、本当に幸せです。こんな風に愛情も幸せもたくさんもらって、私には何も壮真さんに返してあげることができないけど、壮真さんが私を必要としてくれる限り、壮真さんの全てのサポートをさせてもらえませんか? どうかお願いします」

「美月……」

いつもなら恥ずかしくて言えない言葉が、口の中から溢れ出る。

溢れる思いが瞳からもぽろぽろと零れ落ちた。


そして──。
もう一度どうしても伝えたかったこと──。


「私は壮真さんのことが、心から大好きです」



ガタン──と椅子が引かれ、副社長が立ち上がったかと思うと、私のそばまで来て椅子ごと抱き締めた。

「美月……、俺も美月が大好きだ」

抱き締める腕に力が籠る。

「ずっと俺のそばでサポートしてくれるのか?」

声が少し震えている。

「壮真さんが私を必要としてくれる限り、ずっとそばでサポートしたい……」

「俺は美月を一生手放す気なんてないぞ」

「私も壮真さんのそばにいたいから……」

副社長がゆっくりと身体を離し、私を見つめた。
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