月に魔法をかけられて
エレベーターを降りてフレンチのレストランへ向かい、フロアスタッフに案内され、副社長と一緒に予約席へと歩いていく。
フロアに足を踏み入れた瞬間、目に入ってくる全てのものが美しくて、優雅な空間に思わずうっとりとしてしまった。
目立たないように気をつけながらきょろきょろと瞳を動かし進んでいくと、一番奥の窓側の席に案内された。
大きな窓からは東京タワーや東京湾など、都内の煌く夜景が一望に広がっていて、私はその美しさに思わず息を呑んだ。
「わぁー、すっごくきれい……。ほんとにたくさんの宝石が輝いているみたい……」
溜息を吐きながら声を漏らす。
「美月、気に入った?」
「はい。すっごく……。こんなきれいな夜景が見れるなんて思わなかった……」
私の笑顔に、副社長も嬉しそうに微笑んでくれている。
「よかった。じゃあ、座って。今日はコース料理を予約してるから」
副社長はフロアスタッフが持ってきたメニューを見てお酒を注文すると、ゆっくりと私の方に向き直った。
「美月、急にごめんな。今日も夜ごはんの準備してくれてたんだろ?」
「はい。でも、明日でも大丈夫です。それより、こんな素敵なレストランに連れてきてくれてありがとうございます」
副社長がどうして急にこんなレストランに連れて来てくれたのかが気になりながらも、普通通りに過ごそうと決めていた私は、何も聞かずにニコリと微笑み返した。
するとそこへスタッフが、黄色のフルーツの入った丸いグラスのカクテルを2つ持ってきた。
「ヴーヴ クリコ リッチのシャンパーニュカクテルでございます。本日はパイナップルフルーツとアイスキューブでのクリコロジーでございます」
んっ?
ヴーヴ クリコ リッチ?
クリコロジー?
説明してくれるスタッフにお辞儀をしながら、頭の中に「?」を浮かべてカクテルをじっと見つめていると、副社長が私に分かるように説明してくれた。
「ヴーヴ クリコっていうシャンパンがあるんだけどな。その中のリッチ ロゼっていうシャンパンはミクソロジーのために特別なドサージュでブレンドして作られたシャンパンなんだ」
「ミクソロジー? ドサージュ?」
ますます分からなくなって、さらに「?」が増えていく。
「ああ、つまり、フルーツや野菜、ハーブなど新鮮な素材を使って作るカクテルのために、糖分が添加されたシャンパンなんだ。『クリコロジー』っていうのは、そのヴーヴ・クリコと食材・氷をミックスしたドリンクということで作られた言葉らしいぞ」
「へぇー、そうなんだ……。壮真さんすごい。何でも知ってるんですね」
「とりあえず今日は特別な日だから。美月、乾杯しよう。グラス持って」
副社長に促され、私もグラスを手に持つ。
「美月、乾杯!」
副社長とお互いのグラスを軽く合わせて、私はカクテルを口に運んだ。
「わぁ、これ美味しい! パイナップルの香りがふんわりと漂って、すっごくまろやか。すごくすごく美味しい」
自然と満面の笑みが溢れる。
「美味しい? それならよかった。美月は甘い酒が好きだもんな」
優しい笑顔を向ける副社長に見つめられながらシャンパンのカクテルの美味しさに感動していると、料理が運ばれてきた。
フロアに足を踏み入れた瞬間、目に入ってくる全てのものが美しくて、優雅な空間に思わずうっとりとしてしまった。
目立たないように気をつけながらきょろきょろと瞳を動かし進んでいくと、一番奥の窓側の席に案内された。
大きな窓からは東京タワーや東京湾など、都内の煌く夜景が一望に広がっていて、私はその美しさに思わず息を呑んだ。
「わぁー、すっごくきれい……。ほんとにたくさんの宝石が輝いているみたい……」
溜息を吐きながら声を漏らす。
「美月、気に入った?」
「はい。すっごく……。こんなきれいな夜景が見れるなんて思わなかった……」
私の笑顔に、副社長も嬉しそうに微笑んでくれている。
「よかった。じゃあ、座って。今日はコース料理を予約してるから」
副社長はフロアスタッフが持ってきたメニューを見てお酒を注文すると、ゆっくりと私の方に向き直った。
「美月、急にごめんな。今日も夜ごはんの準備してくれてたんだろ?」
「はい。でも、明日でも大丈夫です。それより、こんな素敵なレストランに連れてきてくれてありがとうございます」
副社長がどうして急にこんなレストランに連れて来てくれたのかが気になりながらも、普通通りに過ごそうと決めていた私は、何も聞かずにニコリと微笑み返した。
するとそこへスタッフが、黄色のフルーツの入った丸いグラスのカクテルを2つ持ってきた。
「ヴーヴ クリコ リッチのシャンパーニュカクテルでございます。本日はパイナップルフルーツとアイスキューブでのクリコロジーでございます」
んっ?
ヴーヴ クリコ リッチ?
クリコロジー?
説明してくれるスタッフにお辞儀をしながら、頭の中に「?」を浮かべてカクテルをじっと見つめていると、副社長が私に分かるように説明してくれた。
「ヴーヴ クリコっていうシャンパンがあるんだけどな。その中のリッチ ロゼっていうシャンパンはミクソロジーのために特別なドサージュでブレンドして作られたシャンパンなんだ」
「ミクソロジー? ドサージュ?」
ますます分からなくなって、さらに「?」が増えていく。
「ああ、つまり、フルーツや野菜、ハーブなど新鮮な素材を使って作るカクテルのために、糖分が添加されたシャンパンなんだ。『クリコロジー』っていうのは、そのヴーヴ・クリコと食材・氷をミックスしたドリンクということで作られた言葉らしいぞ」
「へぇー、そうなんだ……。壮真さんすごい。何でも知ってるんですね」
「とりあえず今日は特別な日だから。美月、乾杯しよう。グラス持って」
副社長に促され、私もグラスを手に持つ。
「美月、乾杯!」
副社長とお互いのグラスを軽く合わせて、私はカクテルを口に運んだ。
「わぁ、これ美味しい! パイナップルの香りがふんわりと漂って、すっごくまろやか。すごくすごく美味しい」
自然と満面の笑みが溢れる。
「美味しい? それならよかった。美月は甘い酒が好きだもんな」
優しい笑顔を向ける副社長に見つめられながらシャンパンのカクテルの美味しさに感動していると、料理が運ばれてきた。