月に魔法をかけられて
薬指につけられたその指輪は、私の気持ちを表すかのように嬉しそうにキラキラと光り輝いていた。
自分の手なのに、なんだか自分の手じゃないように見える。
「よかった。サイズぴったりだったな」
私の顔と指を安心した表情で交互に見る副社長。
そうだ。
ほんとにサイズがぴったりだ。
副社長はいつ私の指のサイズを知ったのだろう。
私が尋ねるような視線で顔を見つめていると、副社長が恥ずかしそうな表情を浮かべて口を開いた。
「美月の指のサイズ? 実はな、毎晩美月が寝たあとに糸を持ってきてそっと測ってたんだ。美月を起こさないように測るのがなかなか難しくてな。結構時間がかかって苦労したんだよ。でもその甲斐あってサイズがぴったりでよかった」
クシャっと笑いながら得意そうにピースサインを見せる。
大変な時だったというのに私のためにこんなことをしてくれていたのかと思うと、うれしくて幸せで胸がいっぱいになる。
同時に、どんな顔をして指のサイズを測ってくれてたんだろうと思うとクスッと笑みが零れてきた。
「壮真さん、本当にありがとうございます。すごく大変な時だったと思うのに、こんなに素敵なことしてくれて、私、すっごく幸せです」
「美月がこうして喜んでくれるのが一番だから。今日からそれ、絶対に外すなよ」
「えっ? でも、こんな大切なものずっと着けてたら、絶対に傷がついちゃう……」
「傷がつくこと恐れてたら指輪なんか着けられないぞ。婚約指輪っていうのは婚約期間中に着けるものだろ? 今着けないでいつ着けるんだよ。それは俺が美月と結婚の約束をしていますっていう証明だから。誰も美月には手を出すなよっていう牽制だから……。最近、美月が色っぽいっていう噂が俺の耳に入ってきててさ。俺、マジで心配なんだよ」
「えっ? わっ、私が色っぽい……?」
目を丸くしながら副社長の顔を覗きこむ。
そう言えばあゆみちゃんも前にそんなことを言ってたけど……。
私は何も変わってないよ……。
上から自分の身体を見下ろしてみるけれど、やっぱり変わった様子はない。
胸が大きくなったわけでもないし、体型だってそのままだ。
どこが色っぽいんだろう?
「ああ、俺が見ても色っぽいと思うよ。しなやかというか、妖艶というか……。誰にも美月を晒したくないと思うくらいにな。そういう噂が出てるってことは会社の奴らが美月を狙ってるってことだろ? 外部の奴らだってどこから狙ってくるか分からないからな。だから、絶対に外すなよ」
力の籠った目て見つめられ、頷くしか許されそうになさそうだ。
私が小さく頷くと、副社長はもうひとつ驚くようなことを口にした。
自分の手なのに、なんだか自分の手じゃないように見える。
「よかった。サイズぴったりだったな」
私の顔と指を安心した表情で交互に見る副社長。
そうだ。
ほんとにサイズがぴったりだ。
副社長はいつ私の指のサイズを知ったのだろう。
私が尋ねるような視線で顔を見つめていると、副社長が恥ずかしそうな表情を浮かべて口を開いた。
「美月の指のサイズ? 実はな、毎晩美月が寝たあとに糸を持ってきてそっと測ってたんだ。美月を起こさないように測るのがなかなか難しくてな。結構時間がかかって苦労したんだよ。でもその甲斐あってサイズがぴったりでよかった」
クシャっと笑いながら得意そうにピースサインを見せる。
大変な時だったというのに私のためにこんなことをしてくれていたのかと思うと、うれしくて幸せで胸がいっぱいになる。
同時に、どんな顔をして指のサイズを測ってくれてたんだろうと思うとクスッと笑みが零れてきた。
「壮真さん、本当にありがとうございます。すごく大変な時だったと思うのに、こんなに素敵なことしてくれて、私、すっごく幸せです」
「美月がこうして喜んでくれるのが一番だから。今日からそれ、絶対に外すなよ」
「えっ? でも、こんな大切なものずっと着けてたら、絶対に傷がついちゃう……」
「傷がつくこと恐れてたら指輪なんか着けられないぞ。婚約指輪っていうのは婚約期間中に着けるものだろ? 今着けないでいつ着けるんだよ。それは俺が美月と結婚の約束をしていますっていう証明だから。誰も美月には手を出すなよっていう牽制だから……。最近、美月が色っぽいっていう噂が俺の耳に入ってきててさ。俺、マジで心配なんだよ」
「えっ? わっ、私が色っぽい……?」
目を丸くしながら副社長の顔を覗きこむ。
そう言えばあゆみちゃんも前にそんなことを言ってたけど……。
私は何も変わってないよ……。
上から自分の身体を見下ろしてみるけれど、やっぱり変わった様子はない。
胸が大きくなったわけでもないし、体型だってそのままだ。
どこが色っぽいんだろう?
「ああ、俺が見ても色っぽいと思うよ。しなやかというか、妖艶というか……。誰にも美月を晒したくないと思うくらいにな。そういう噂が出てるってことは会社の奴らが美月を狙ってるってことだろ? 外部の奴らだってどこから狙ってくるか分からないからな。だから、絶対に外すなよ」
力の籠った目て見つめられ、頷くしか許されそうになさそうだ。
私が小さく頷くと、副社長はもうひとつ驚くようなことを口にした。