月に魔法をかけられて
「帰り?」

「ああ、なかなか起きないから、美月ちゃんにお願いして帰ったけど」

「はっ? 美月ちゃん? 誰だよそれ。お前が俺をここに連れてきたんじゃないのかよ?」

驚いて聞き返した俺の言葉に、聡は俺の質問には答えず、逆に怪訝そうに聞き返してきた。

「誰って、美月ちゃんはお前の秘書だろ。それよりここってどこだよ? お前、ちゃんと家に帰ったんじゃないのか?」

「えっ……、秘書………?」

俺は聡の言っていることが全く理解ができず、一瞬言葉を失った。

「おい、壮真、聞いてるのか? お前、もしかして家に帰ってないのか?」

「あ……、ああ………。それが………、起きたらホテルの部屋だったんだ……」

「ホテルの部屋? どうして? もしかして、女でも連れ込んだのか? まさかお前美月ちゃんと……」

「いっ、 いや……、それは多分……違うと思う………」

俺は自分の服装の状態からそう答えた。
< 33 / 347 >

この作品をシェア

pagetop