月に魔法をかけられて
「ところで……、こんなときに仕事の話も悪いが、新ブランドの件はどうなってる?」
社長がケーキを口に運びながら、真剣な顔をして瞳子さんと副社長を交互に見つめた。
「まずは第一弾として5月1日にフェイスパウダーを出すわ。持ち歩きしやすいように、コンパクトタイプのものにしたの。デザインはいつもの通りJGデザインの後藤さんに頼んで、ほぼ決まったわ」
「フェイスパウダーか……。ブランド名は確か、『ルフレ・フルール』だったな」
「ああ。ブランド名にかなり苦労したんだが、最終的に『ルフレ・フルール』でいこうということで決まったよ」
副社長が社長の話に頷きながら答える。
「ルフレ・フルール……。いい響きですね」
私も初めて聞く名前の柔らかい響きに、自然と笑みが零れた。
「ああ、響きも柔らかいが、名前には『花の輝き』という意味があって、どの女性も輝けるようにという意味でこのブランド名にしたんだ」
副社長が私にも分かるように説明してくれた。
「どの女性も輝けるように……。素敵な意味の名前ですね。やっぱりルナ・ボーテと同じ由来にされたんですね」
「ルナ・ボーテと同じ由来?」
社長がなぜか不思議そうな顔をして私を見た。
「えっ、あっ、前にルナ・ボーテの名前の由来を聞いたことがありまして……。それを思い出したものですから……」
「由来とは? 月の女神の話のことかい?」
「はい。私、最初は絶世の美女と言われた柔らかな光を放つ月の女神から名前をつけられたと聞いていたんです。だけどもう少し補足があったみたいで、その月の女神は3つの顔を持っていると言われてて、月には満ち欠けがあるように、三日月は少女、満月は成熟した女性、そして下弦の月が老女という3つの顔を持っているそうなんです。
どの月にもそれぞれの美しさがあるように、どの年代の女性にも美しく輝いていてほしいという願いをこめてつけられた名前とお聞きしまして、それで、ルフレ・フルールもどの女性も輝けるようにという意味を込めてということを聞いて、コンセプトが同じなんだなと……」
社長に分かりきった話をするのも気が引けながら苦笑いを浮かべる。
すると──。
「へぇー、そうなの? 知らなかった」
「俺も知らなかった。親父知ってたのか?」
「い、いや……、私もその話は初めて聞いたな」
3人ともが目を丸くして私を見た。
社長がケーキを口に運びながら、真剣な顔をして瞳子さんと副社長を交互に見つめた。
「まずは第一弾として5月1日にフェイスパウダーを出すわ。持ち歩きしやすいように、コンパクトタイプのものにしたの。デザインはいつもの通りJGデザインの後藤さんに頼んで、ほぼ決まったわ」
「フェイスパウダーか……。ブランド名は確か、『ルフレ・フルール』だったな」
「ああ。ブランド名にかなり苦労したんだが、最終的に『ルフレ・フルール』でいこうということで決まったよ」
副社長が社長の話に頷きながら答える。
「ルフレ・フルール……。いい響きですね」
私も初めて聞く名前の柔らかい響きに、自然と笑みが零れた。
「ああ、響きも柔らかいが、名前には『花の輝き』という意味があって、どの女性も輝けるようにという意味でこのブランド名にしたんだ」
副社長が私にも分かるように説明してくれた。
「どの女性も輝けるように……。素敵な意味の名前ですね。やっぱりルナ・ボーテと同じ由来にされたんですね」
「ルナ・ボーテと同じ由来?」
社長がなぜか不思議そうな顔をして私を見た。
「えっ、あっ、前にルナ・ボーテの名前の由来を聞いたことがありまして……。それを思い出したものですから……」
「由来とは? 月の女神の話のことかい?」
「はい。私、最初は絶世の美女と言われた柔らかな光を放つ月の女神から名前をつけられたと聞いていたんです。だけどもう少し補足があったみたいで、その月の女神は3つの顔を持っていると言われてて、月には満ち欠けがあるように、三日月は少女、満月は成熟した女性、そして下弦の月が老女という3つの顔を持っているそうなんです。
どの月にもそれぞれの美しさがあるように、どの年代の女性にも美しく輝いていてほしいという願いをこめてつけられた名前とお聞きしまして、それで、ルフレ・フルールもどの女性も輝けるようにという意味を込めてということを聞いて、コンセプトが同じなんだなと……」
社長に分かりきった話をするのも気が引けながら苦笑いを浮かべる。
すると──。
「へぇー、そうなの? 知らなかった」
「俺も知らなかった。親父知ってたのか?」
「い、いや……、私もその話は初めて聞いたな」
3人ともが目を丸くして私を見た。