月に魔法をかけられて
彼女が応接室を出て間もなく、村上社長がやってきた。
「村上社長、お久しぶりです。ご無沙汰しております」
社長が入ってくるなり、俺は失礼のないように笑顔で丁寧に頭を下げた。
「こちらこそご無沙汰しております。すっかり副社長としての貫禄が出てきましたねー」
にこやかに応対はしてくれるものの、やはり俺を名前だけの三代目だと思っているのは雰囲気から感じ取れた。
まあ、名前だけと思われても仕方ないよな……。
会うのは2回目だし……。
「いえいえ、とんでもございません。まだまだ勉強することが多く、日々学んでおります」
俺は営業スマイルを浮かべながら、謙虚に答えた。
「どうぞおかけください」
「ありがとうございます。こちらはどうぞ皆さまでお召し上がりください」
そう言って秘書から渡された手土産を社長に渡す。
「おっ、これは 『まるいち堂』 のどら焼きですか?」
「あっ、はい。日持ちが3日しかないので申し訳ないのですが……」
俺は秘書から言われた通り、日持ちが3日間しかないことを伝えた。
すると。
「いやいや、このどら焼きは人気だから購入するのが大変だったでしょう?」
村上社長は、なぜか目を丸くして驚いている。
そんなにこのどら焼きは人気なのか?
まあ確かにさっき食べたときは、ふわふわとしたどら焼きだとは思ったが、どら焼きなんてどれもそう対して変わらないだろ……。
こんなどら焼きより、手土産としてもっと定番な洒落た焼き菓子の方が良かったんじゃないかと思っていた俺は、村上社長がどうしてこんなにも驚いているのか分からなかった。
「村上社長、お久しぶりです。ご無沙汰しております」
社長が入ってくるなり、俺は失礼のないように笑顔で丁寧に頭を下げた。
「こちらこそご無沙汰しております。すっかり副社長としての貫禄が出てきましたねー」
にこやかに応対はしてくれるものの、やはり俺を名前だけの三代目だと思っているのは雰囲気から感じ取れた。
まあ、名前だけと思われても仕方ないよな……。
会うのは2回目だし……。
「いえいえ、とんでもございません。まだまだ勉強することが多く、日々学んでおります」
俺は営業スマイルを浮かべながら、謙虚に答えた。
「どうぞおかけください」
「ありがとうございます。こちらはどうぞ皆さまでお召し上がりください」
そう言って秘書から渡された手土産を社長に渡す。
「おっ、これは 『まるいち堂』 のどら焼きですか?」
「あっ、はい。日持ちが3日しかないので申し訳ないのですが……」
俺は秘書から言われた通り、日持ちが3日間しかないことを伝えた。
すると。
「いやいや、このどら焼きは人気だから購入するのが大変だったでしょう?」
村上社長は、なぜか目を丸くして驚いている。
そんなにこのどら焼きは人気なのか?
まあ確かにさっき食べたときは、ふわふわとしたどら焼きだとは思ったが、どら焼きなんてどれもそう対して変わらないだろ……。
こんなどら焼きより、手土産としてもっと定番な洒落た焼き菓子の方が良かったんじゃないかと思っていた俺は、村上社長がどうしてこんなにも驚いているのか分からなかった。