月に魔法をかけられて
「ここね、すっごく人気のお店でなかなか予約が取れないの。この予約もね、実は随分前からキャンセル待ちをお願いしていて取れたんだー」

「えっ、キャンセル待ち? そんなに人気のお店なんだ……」

「そう。会社の先輩から教えてもらってね。何を食べても美味しいらしいの。毎日満席らしいよ」

彩矢の話を聞きながら周りを見渡すと、みんな美味しそうに料理を口に運んでいる。

「今日はね、美月の誕生日ということでコースをお願いしてるから、楽しみにしてて」

彩矢が得意そうにニコッと笑顔を向ける。

「わぁ、すごく楽しみっ」

私もそう言って満面の笑顔を向けた。
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