月に魔法をかけられて
人の気配を感じた男は、いきなり立ち上がり、顔を隠すようにして瞬く間に走って逃げだした。
「えっ、何、今の男……。気持ち悪いわね。うちの車に何かしてたのかしら……。あとで管理人さんに言っとかないと……」
奈緒ちゃんのお母さんはそう独り言を言いながら、男が車に何をしていたのかと後ろ側に回り込もうとしたとき、そこにはブルブルと震え、涙を流しながら、声を発することができない私がいた。
「どっ、どうしたの美月ちゃん!」
びっくりした顔で私に問いかける奈緒ちゃんのお母さん。
だけど、私は恐怖で何も言葉が出てこない。
奈緒ちゃんのお母さんはすぐに私を抱きしめてくれて、
「美月ちゃん、大丈夫だから。おばちゃんが守ってあげるからもう大丈夫よ。怖かったね……。ほんとに怖かったね……」
と何度も言いながら、私を抱っこして家まで連れて行ってくれた。
そこからの私の記憶はあいまいで……。
私が大人になってからお母さんに聞いた話によると、奈緒ちゃんのお母さんと私のお母さんは、すぐに警察に連絡したそうだ。
そして、駐車場の防犯カメラの映像から、わいせつ未遂事件としてその男の行方を探すこととなった。
男の行方はなかなか掴めなかったけれど、それから1か月後、その男は同じようなことを小学生の女の子にしようとして、強制わいせつ容疑で捕まったということだった。
「えっ、何、今の男……。気持ち悪いわね。うちの車に何かしてたのかしら……。あとで管理人さんに言っとかないと……」
奈緒ちゃんのお母さんはそう独り言を言いながら、男が車に何をしていたのかと後ろ側に回り込もうとしたとき、そこにはブルブルと震え、涙を流しながら、声を発することができない私がいた。
「どっ、どうしたの美月ちゃん!」
びっくりした顔で私に問いかける奈緒ちゃんのお母さん。
だけど、私は恐怖で何も言葉が出てこない。
奈緒ちゃんのお母さんはすぐに私を抱きしめてくれて、
「美月ちゃん、大丈夫だから。おばちゃんが守ってあげるからもう大丈夫よ。怖かったね……。ほんとに怖かったね……」
と何度も言いながら、私を抱っこして家まで連れて行ってくれた。
そこからの私の記憶はあいまいで……。
私が大人になってからお母さんに聞いた話によると、奈緒ちゃんのお母さんと私のお母さんは、すぐに警察に連絡したそうだ。
そして、駐車場の防犯カメラの映像から、わいせつ未遂事件としてその男の行方を探すこととなった。
男の行方はなかなか掴めなかったけれど、それから1か月後、その男は同じようなことを小学生の女の子にしようとして、強制わいせつ容疑で捕まったということだった。