月に魔法をかけられて
あの時はわいせつなんて言葉は分からなかったけれど、今になれば、その男が私に何をしようとしていたのかが分かる。
何事もなくて本当に良かったけれど、私にはあの時のことがトラウマになっていた。
いや、トラウマになっていたなんて二十歳を過ぎるまで全く思ってもいなかった。
普通に学生時代には、男女のグループで遊びに行ったりしていたから。
だけど……。
大学生の時に、私に初めて彼氏ができた。
2つ年上のサークルの先輩で、とても笑顔が素敵な男性だった。
付き合って3か月目。
ドライブデートの帰り、先輩が初めてキスをしようとした。
私もその時まで、その日を期待して、ドキドキしながら待っていた。
初めてのキスを……。
でも……。
いざ先輩の顔が近づいてきた時、私になぜかあの時の恐怖が蘇ってきた。
ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべる男の顔が……。
「いやぁ──、や、やめて──」
私は思わず先輩を突き飛ばした。
驚いて私を見る先輩と、ボロボロと涙を流しながら拒否する私。
先輩はどうして私が拒否をして突き飛ばしたのか分からなかったようだけれど、少なくとも、拒否されたことには傷ついたに違いない。
私は泣きながら先輩に謝り、車から降りると、何も言わずその場から走って逃げだしてしまった。
そして──。
先輩とはそれ以来ギクシャクし始めて、結局別れることになった。
何事もなくて本当に良かったけれど、私にはあの時のことがトラウマになっていた。
いや、トラウマになっていたなんて二十歳を過ぎるまで全く思ってもいなかった。
普通に学生時代には、男女のグループで遊びに行ったりしていたから。
だけど……。
大学生の時に、私に初めて彼氏ができた。
2つ年上のサークルの先輩で、とても笑顔が素敵な男性だった。
付き合って3か月目。
ドライブデートの帰り、先輩が初めてキスをしようとした。
私もその時まで、その日を期待して、ドキドキしながら待っていた。
初めてのキスを……。
でも……。
いざ先輩の顔が近づいてきた時、私になぜかあの時の恐怖が蘇ってきた。
ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべる男の顔が……。
「いやぁ──、や、やめて──」
私は思わず先輩を突き飛ばした。
驚いて私を見る先輩と、ボロボロと涙を流しながら拒否する私。
先輩はどうして私が拒否をして突き飛ばしたのか分からなかったようだけれど、少なくとも、拒否されたことには傷ついたに違いない。
私は泣きながら先輩に謝り、車から降りると、何も言わずその場から走って逃げだしてしまった。
そして──。
先輩とはそれ以来ギクシャクし始めて、結局別れることになった。