怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
「大島さん! なんなのこの子!? 失礼にも程があるわ! ここには何か良くないものがいるわ! 偉大なるパワーを宇宙より与えられた霊能力者であるこの私の言うことが信じられないっていうのかしら!?」
「まあ、まあ……。落ち着いてください。猪口さん。――でも、じゃあどうして吉原さんは交霊会に来たの?」

 大島は、怪しげな自称霊能力者こと、猪口すみれを宥めると、困った表情で要に訊いた。要は毅然とした態度で答えた。

「交霊会には興味があったからです。正直、ここに舌のない幽霊がいようがいまいがあたしはどっちでも良いんですよ。いるもいないも霊本人の自由でしょう? 霊が悪さをするってことはあるんでしょうけど、幽霊が側にいると知るだけで救われる人間もいるし、ただそこにいたいだけの幽霊もいるでしょう。だから、舌のない幽霊に興味はない。でも、彼が何故そんな風に死んだのか、化けて出るならそれは何故なのか、それを知りたい。だから、交霊会には興味がある。――解っていただけました?」

 大島は微妙な表情をした。この子、変な子……関わらない方が良いかもという感情が見え隠れする。田中は、困ったように笑うだけで真意は見えなかった。一方で、猪口はふんっと鼻を鳴らし、一蹴した。

「何を言ってるのか全然解らないわ。霊がいて、救われる人間なんているわけがないじゃないの。おかしな子ね」
「救われる人はいますよ!」

 突然声を荒げたあかねを、要は少しビックリしながら見た。

「います!」

 もう一度、あかねは強い口調で言い放った。刺さるような真剣な眼差しに、猪口は圧倒されてたじろいだ。

「あかね……」

 呟いた要の肩に、秋葉は手を置いた。見上げると、優しい目で要を見て、ふんわりと笑う。

(コイツら……)

 要は気恥ずかしくなり、慌てて訊いた。

「あの、あたし達が泊まる部屋ってどこですかね!?」
「あ、ああ……えっと、確か二階よ。ね?」
「はい。二階にご用意させてもらってます。四人部屋で大丈夫ですよね?」
「そうですね。お願いします」
「この子達より、私を先に案内してちょうだいよ! 私はこの子達と違って仕事で来てるんですからね!」
「じゃあ、私がご案内します」

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