怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
「一応って?」
拾われたくないところを拾われたのか、少し田中の頬が強張った。
「うん。えっと……いわゆる霊能者って人達は、大島さんに頼んで集めてもらったから……。でも、出資者は僕だし、彼女のことは信用してるからさ」
「大島さんと田中さんって付き合ってるんですか?」
トラブルに遭っているのは田中だが、関係ないはずの大島が舵を握っているように見える。先輩後輩の間柄や、友人関係かとも思ったが、男女といえば、真っ先に疑うのが恋愛関係かどうかだ。
それに、先程の二人のやり取りには親密さが窺えた気がした。だが、田中は目を見開いて否定した。
「いやいや。とんでもないよ。僕には勿体無い人だよ」
わたわたと慌ててから、田中は言い辛そうに切り出す。
「彼女とは、三ヶ月くらい前に知り合ったんだよ。キミは否定したけど、おかしなことがこの家で起き始めて、不安でたまらなかった時に、たまたまSNSを通じて知り合ったんだ。親身に訊いてくれて、交霊会をしようって言ってくれたのも彼女なんだよ」
照れくさそうな田中を、要は訝し気に見る。
「あたし、気になってたんですけど、なんで交霊会なんです? 普通幽霊がいるかもって怖くなったら交霊会じゃなくて除霊しようって話になると思うんですよね。交霊会ってわざわざ霊を呼び出してコンタクトしようってことじゃないですか。怖がってたら普通やりませんよね?」
「ああ……そういえばそうだよね。ごめん、僕、除霊も交霊会も一緒のような感じがしてて……確かにそうだよね。交霊会ってそういうことだもんね」
田中は腑に落ちたように顎を引いた。
オカルトに興味もない人間だったら深く考えたり、交霊会の意味も知らない人もいるかも知れない。要はそう考え、そのことについてはいったん納得をした。だが、新たな疑問が浮かぶ。
何故大島は、交霊会を提案したのか。
(なぁんか、胡散臭いんだよなぁ、あの人も)
要は大島が去った階段を、じっと見つめた。
*
部屋に戻るとあかねはまだベットに寝ていた。秋葉はベッドに腰をかけ、持って来た少年漫画を読んでいる。
「おかえり」
要を見ずに言った秋葉に、ただいまと返してあかねを見た。
「姫はまだおねんねですか」
「今、話かけんなよ」
ぼそっと秋葉が警告をして、人差し指で口の前に持って行き、シーと形を作る。
拾われたくないところを拾われたのか、少し田中の頬が強張った。
「うん。えっと……いわゆる霊能者って人達は、大島さんに頼んで集めてもらったから……。でも、出資者は僕だし、彼女のことは信用してるからさ」
「大島さんと田中さんって付き合ってるんですか?」
トラブルに遭っているのは田中だが、関係ないはずの大島が舵を握っているように見える。先輩後輩の間柄や、友人関係かとも思ったが、男女といえば、真っ先に疑うのが恋愛関係かどうかだ。
それに、先程の二人のやり取りには親密さが窺えた気がした。だが、田中は目を見開いて否定した。
「いやいや。とんでもないよ。僕には勿体無い人だよ」
わたわたと慌ててから、田中は言い辛そうに切り出す。
「彼女とは、三ヶ月くらい前に知り合ったんだよ。キミは否定したけど、おかしなことがこの家で起き始めて、不安でたまらなかった時に、たまたまSNSを通じて知り合ったんだ。親身に訊いてくれて、交霊会をしようって言ってくれたのも彼女なんだよ」
照れくさそうな田中を、要は訝し気に見る。
「あたし、気になってたんですけど、なんで交霊会なんです? 普通幽霊がいるかもって怖くなったら交霊会じゃなくて除霊しようって話になると思うんですよね。交霊会ってわざわざ霊を呼び出してコンタクトしようってことじゃないですか。怖がってたら普通やりませんよね?」
「ああ……そういえばそうだよね。ごめん、僕、除霊も交霊会も一緒のような感じがしてて……確かにそうだよね。交霊会ってそういうことだもんね」
田中は腑に落ちたように顎を引いた。
オカルトに興味もない人間だったら深く考えたり、交霊会の意味も知らない人もいるかも知れない。要はそう考え、そのことについてはいったん納得をした。だが、新たな疑問が浮かぶ。
何故大島は、交霊会を提案したのか。
(なぁんか、胡散臭いんだよなぁ、あの人も)
要は大島が去った階段を、じっと見つめた。
*
部屋に戻るとあかねはまだベットに寝ていた。秋葉はベッドに腰をかけ、持って来た少年漫画を読んでいる。
「おかえり」
要を見ずに言った秋葉に、ただいまと返してあかねを見た。
「姫はまだおねんねですか」
「今、話かけんなよ」
ぼそっと秋葉が警告をして、人差し指で口の前に持って行き、シーと形を作る。