怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
 笹崎は、フェイスブックとツイッターにアカウントがあった。会社での飲み会の様子や、友人とのランチの写真が多くあるが、一番多かったのは自撮写真だった。宗教に関してのツイートや記事はたまに上げられている程度。趣味は占いをはじめ、サーフィンやお菓子作りなど様々だ。
 典型的なミーハーで、自己顕示欲の強いタイプだなと要は思った。

ついでに田中と猪口のことも調べようと検索画面に打ち込んだが、画面が切り替わらずに固まってしまった。
 意味はないと分かっていても、小型ルーターを一振りする。画面は変わらないままだ。

「やっぱ不安定だなぁ……」

 小型ルーターは便利だが、固定と違ってたまに不安定になることがある。要はポケットからスマートフォンを取り出した。

「えっ、うそ!」
「どうした?」

 ベッドに戻って再び漫画を読んでいた秋葉が声をかける。

「スマホ3Gなんだけど」
「マジか?」

 秋葉も驚いて自分のスマートフォンを確認すると、やはり3Gになっていた。

「めっちゃ遅いじゃん! ネット繋がんないレベルじゃん!」
「でも、電話は通じるよな?」

 自宅に電話をしてみると、呼び出し音が鳴る。それを確認すると秋葉は素早く通話を切った。

「通じた。ってことで、良いんじゃね?」
「良くないよー! あたしはネットが出来ないと死んじゃう病なんだからねぇ!」

 わーんと泣きまねをして、大げさに机に突っ伏する。

「ま、良い機会なんじゃね? たまにはネット断ちしなさいってことよ」
「いーーーーやーーーーーだぁーーーー!」
「要うるさいっ!」
 
 要の絶叫で飛び起きたあかねは、枕を要の後頭部に叩きつけた。振り返った要をギロリと睨みつける。

「す、すまぬ」

 両手を挙げて、ペコリーヌした。

 *

それから一時間して、要達は散策でもしようと外へ出た。
 あかねはすっかり調子を取り戻し、不機嫌とはさよならしている。
 そんなあかねに後ろから白けた視線を送ると、その先に猪口と大島を発見した。ワゴン車の前でこそこそと話しをしている。

「あれ、大島さんじゃない?」

 あかねも気づいて、声をかけようと片手を上げた。その手を要が慌てて掴んで、下げる。

「なに?」
「バカ。わざわざヒソヒソ話してるところに声かけてどうすんの。こういうのは、盗み聞きに行くに限るでしょ!」
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