怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
走る勢いに任せて要がぶつかるように由希に抱きつく。由希はバランスを崩し、小さく悲鳴を上げながら、要もろとも転びそうになったところを、秋葉が由希の背中に手を回して力ずくで防いだ。
「ひゅ~♪ かい・りきっ」
「お前なぁ」
呆れてため息をついた秋葉の背後にあかねが仁王立ちした。要をギロリと睨み付ける。
「要っ! 由希が転んだらどうすんのよ! アンタは別に良いけど、可愛い由希の顔に傷がついたらどうすんの!」
「あたしは良いんかーーーい!」
「良いわよ!」
スッパリ言い切った。途端に、ふふっと笑い声が洩れる。由希が涙を浮かべながら笑っていた。おかしすぎて泣いているわけではないのは、一目瞭然だった。
「ごめん。なんだかすごく懐かしくて……。ずっと、皆に会いたかったから……。変わらないね、要ちゃん達は」
「何言ってるのよ。由希だって、変わらないわ」
「いや、修行してんだぞ。変わんなきゃ意味ねぇだろ」
「そ、そういうことじゃないわよ」
どもったあかねの肩に手を置いて、要がめずらしく優しく笑んだ。
「由希が変わってもあたし達の関係はなんにも変わらないってことよ。もちろん、あたし達の誰が変わったとしてもね。でしょ? あかね」
「そういうことよ」
「本当かよ」
「ほ、本当よ」
要のフォローに乗っかった。あかねは、嘘をつくと吃音に問題が出る。仲間内以外の者にはすらすらと思ってもいないことを口にすることが可能だが、心を許した者には罪悪感が働くのか、こと、騙すという種類の嘘にはこういう反応が出た。それを、あかねと一番付き合いの長い秋葉は見抜いていたが、とりあえずからかうこともなく、スルーすることにした。今は、帰国した由希を祝いたい。
「もう、まったくなんなの!」
呆れ果てるように猪口は吐き捨てて、通るわよと要達の横を通り過ぎて、乱暴にドアを閉めた。
「横柄な人だなぁ……。でも、由希、おかえり」
「ああ、おかえり由希。だけど、なんで日本にいるんだ? 一年はイギリスにいるって話だったよな? まだ三ヶ月しか経ってないぞ」
「秋葉は、なんでそう自分にも他人にも厳しいのよ。嬉しいくせに。良いじゃない一時帰国したって。なんなら、ずっと日本にいて良いのよ?」
「お前は、甘やかしすぎ」
「アハハハッ。っていうか、由希は二人の子供かよ~」
「要!」
「ひゅ~♪ かい・りきっ」
「お前なぁ」
呆れてため息をついた秋葉の背後にあかねが仁王立ちした。要をギロリと睨み付ける。
「要っ! 由希が転んだらどうすんのよ! アンタは別に良いけど、可愛い由希の顔に傷がついたらどうすんの!」
「あたしは良いんかーーーい!」
「良いわよ!」
スッパリ言い切った。途端に、ふふっと笑い声が洩れる。由希が涙を浮かべながら笑っていた。おかしすぎて泣いているわけではないのは、一目瞭然だった。
「ごめん。なんだかすごく懐かしくて……。ずっと、皆に会いたかったから……。変わらないね、要ちゃん達は」
「何言ってるのよ。由希だって、変わらないわ」
「いや、修行してんだぞ。変わんなきゃ意味ねぇだろ」
「そ、そういうことじゃないわよ」
どもったあかねの肩に手を置いて、要がめずらしく優しく笑んだ。
「由希が変わってもあたし達の関係はなんにも変わらないってことよ。もちろん、あたし達の誰が変わったとしてもね。でしょ? あかね」
「そういうことよ」
「本当かよ」
「ほ、本当よ」
要のフォローに乗っかった。あかねは、嘘をつくと吃音に問題が出る。仲間内以外の者にはすらすらと思ってもいないことを口にすることが可能だが、心を許した者には罪悪感が働くのか、こと、騙すという種類の嘘にはこういう反応が出た。それを、あかねと一番付き合いの長い秋葉は見抜いていたが、とりあえずからかうこともなく、スルーすることにした。今は、帰国した由希を祝いたい。
「もう、まったくなんなの!」
呆れ果てるように猪口は吐き捨てて、通るわよと要達の横を通り過ぎて、乱暴にドアを閉めた。
「横柄な人だなぁ……。でも、由希、おかえり」
「ああ、おかえり由希。だけど、なんで日本にいるんだ? 一年はイギリスにいるって話だったよな? まだ三ヶ月しか経ってないぞ」
「秋葉は、なんでそう自分にも他人にも厳しいのよ。嬉しいくせに。良いじゃない一時帰国したって。なんなら、ずっと日本にいて良いのよ?」
「お前は、甘やかしすぎ」
「アハハハッ。っていうか、由希は二人の子供かよ~」
「要!」