怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
 二人からつっこみを入れられて、要はよりいっそう笑った。由希も、ふふっと、幸せそうに笑って、

「要ちゃんに誘われたの」
「は? 要?」
「要って、この要か?」
「うん。そう」

 秋葉が要を指差して、由希は大きく頷いた。

「はあ!? アンタ一言も言ってないわよね!? そんなこと!」
「サプラ~イズだよ。サプライズ!」
「お前なぁ……」
「アンタねぇ……。まあ、でも良いか。そのおかげで由希に早く会えたんだもの」
「だな」
 
 あかねと秋葉が頷き合うと、由希は頬を僅かに赤くした。

「ありがとう」

 ふわっと笑った由希に、癒される~と三人は自然に笑顔になった。

「でも、あたしも由希がこんなに早く着いてるってのは知らなかったんだよ」
「そうなの?」
「うん。空港か駅で待ち合わせ出来ればなって思ってたんだけど、ちょっと時間が合わなかったみたいで、今日の夜か明日に着くかもって話だったよね?」
「そうなんだけど、予定が早く終わって一日早く日本に着いたの。本当は要ちゃん達と合流しようと思ってたんだけど、飛行機の中で上河内さんに会って」
「たまたま隣同士だったのよね」

 上河内が優しげに笑んだ。由希は小さく頷いて、

「それで、話しをしてるうちに同じ目的地だって気づいて、同行させてもらったの。東京駅でジャブダルさんと笹崎さんと合流して、富山駅で大島さんに迎えに来てもらって」
「じゃあ、あのゴツイ車って大島さんの? それともワゴンも?」
「二台も持ってないわ」

 大島は恥ずかしそうに笑う。

「ジープが私の。ワゴンは田中くんのよ。あなた達を迎えに出るとき乗って行って良いって言うから借りたの。彼も私用があったみたいだから、一緒に町に降りたのよ」

 へえ……と相槌を打ちながら、要はあんなに朝早くにどこに用事があったんだ? と密かに思った。

「でもジープって高級車ですよね?」

 下世話な表情で訊いた要に、大島はそんなことないわよと手を振る。

「中古よ、中古」
「いやぁ、謙遜しちゃいかんよ。大島さん。さっき乗せてもらったけど、ありゃ、中古といっても高かっただろう。本皮のシートだったぞ。車内もピカピカだったしな」
「かなりキレイでしたよね。新品みたいでした」

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