怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
自分に注がれた二人の視線に怪訝に首を傾げたのは、男子にも見えるほどの長身を持った、きりりとした少女だった。澤田秋葉は、白石女子高等学園のもう一人の人気者だ。あかねと並んで生徒に人気がある秋葉は、バレー部のエースで、男っぽい性格と見た目、自分を〝俺〟と呼ぶ一人称からか、黄色い悲鳴を集めていた。あかね同様ファンクラブなるものまで存在しているが、あかねと違って周りの目を一切気にしない秋葉は、そんなものがあるのかくらいの認識で、基本的に黄色い声援に応えるようなことはしなかった。
「なんでもないわよ」
「なんだよ。不機嫌だな」
片方の眉を釣り上げて、秋葉はふと笑う。それを見て、要はにんまりした。
「ひゅ~ひゅ~♪ さっすが夫婦! 顔色だけで解っちゃうのね」
「要!」
「誰が夫婦だよ!」
「だって、あかねもドアに映った影だけで秋葉だって判っちゃうし~」
「それは、この教室に来るでかい女なんて秋葉だけだからよ!」
「でかいとはなんだ! でかいとは!」
「でかいじゃない! でかくなきゃなんなのよ」
「いや、そりゃでけぇけど!」
「やっぱ仲良しじゃない」
「どこが!?」
声を揃えてつっこみを入れた秋葉とあかねは、互いに一瞥してふんっとそっぽを向いた。要はさらににんまりとして笑う。そして、不意に思い出した。
「ねえ、そういえば知ってる? 荒らしや仮面って人」
「誰だ?」
「ああ。ティーチューブでちょっと前に流行った人ね」
「あかね知ってるんだ」
意外そうに驚いた要に、あかねは少し嫌悪感のある顔を向ける。
「生徒の間で話題になってたの。私はああいう人が面白おかしく取り上げられるのは好きじゃないわ。だから沈静化してよかったって思ってるくらいよ」
「どんな人なんだよ?」
秋葉知らないの? とあかねは言いそうになったが、自分の噂にですら興味がない秋葉が流行りものを知っているわけがない。あかねは軽く頷いた。
「そうね。一言で言えば悪ふざけが過ぎる人って感じ」
「自分の姿は極力映らないようにして、人を脅かしたりして、その人のリアクションを撮ったりしてるんだよ。自分を映す場合にはおかめの面をつけて声を変えて出たりするのさ」
「誘拐動画あったじゃない? あれ、最悪だったわ。不謹慎にも程があるもの」
「誘拐?」
「なんでもないわよ」
「なんだよ。不機嫌だな」
片方の眉を釣り上げて、秋葉はふと笑う。それを見て、要はにんまりした。
「ひゅ~ひゅ~♪ さっすが夫婦! 顔色だけで解っちゃうのね」
「要!」
「誰が夫婦だよ!」
「だって、あかねもドアに映った影だけで秋葉だって判っちゃうし~」
「それは、この教室に来るでかい女なんて秋葉だけだからよ!」
「でかいとはなんだ! でかいとは!」
「でかいじゃない! でかくなきゃなんなのよ」
「いや、そりゃでけぇけど!」
「やっぱ仲良しじゃない」
「どこが!?」
声を揃えてつっこみを入れた秋葉とあかねは、互いに一瞥してふんっとそっぽを向いた。要はさらににんまりとして笑う。そして、不意に思い出した。
「ねえ、そういえば知ってる? 荒らしや仮面って人」
「誰だ?」
「ああ。ティーチューブでちょっと前に流行った人ね」
「あかね知ってるんだ」
意外そうに驚いた要に、あかねは少し嫌悪感のある顔を向ける。
「生徒の間で話題になってたの。私はああいう人が面白おかしく取り上げられるのは好きじゃないわ。だから沈静化してよかったって思ってるくらいよ」
「どんな人なんだよ?」
秋葉知らないの? とあかねは言いそうになったが、自分の噂にですら興味がない秋葉が流行りものを知っているわけがない。あかねは軽く頷いた。
「そうね。一言で言えば悪ふざけが過ぎる人って感じ」
「自分の姿は極力映らないようにして、人を脅かしたりして、その人のリアクションを撮ったりしてるんだよ。自分を映す場合にはおかめの面をつけて声を変えて出たりするのさ」
「誘拐動画あったじゃない? あれ、最悪だったわ。不謹慎にも程があるもの」
「誘拐?」