怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
トイレは、階段の裏にある。ユニットバス式になっているが、従来の三点ユニットバスと違って、トイレとお風呂は一室に収まっているが、洗面台は隣にある別の部屋だった。四畳ほどの室内に、洗面台と洗濯機が置かれていて、トイレとお風呂には窓が一切ないが、この洗面台には比較的大きな窓が取り付けられていた。
「げりぴーさんは放っておいて、うちらはビデオカメラのチェック続けよう」
「うん」
二人は、再生したばかりのビデオカメラに目を向ける。ビデオカメラは三台あるため、手分けして観ていくことにした。
しばらくすると映像ではブレーカーが落ちて暗転し、自動的に暗視カメラモードに切り替わった。
「これ、暗視カメラ付なんだ。なんでわざわざ?」
ぽつりと要は呟いた。暗視カメラ機能が付いた物はそれなりに高いし、そもそもわざわざ選ぼうとは思わないのではないか。日常的な動画を撮るぶんには必要のない機能のような気がする。何故、このカメラなのだろう。と、要は思考をめぐらせたが、このカメラを用意したのが大島だったなら、すんなりと納得が行く。
(あとで田中さんにでも訊いてみよう)
要はカメラの映像に集中した。風が吹いた瞬間に、画面が乱れる。
「ん?」
そこで要はカメラを止めた。目を凝らすと、風で僅かに捲りあがったタペストリー(テーブルに掛けてあった布)の隙間から青い物が見える。それは、猪口が消火に使ったバケツに似ていた。
再生ボタンを押すと、すぐに白と黒だけになった映像にノイズが混ざり始めた。激しい音が鳴った途端、映像が途切れてしまった。次に再生されたのは、電気がついた直後だった。
「マージーか。なんの役にもたたないじゃ~ん! 由希の方はどうだった?」
「こっちも同じ。音が鳴った途端にカメラ切れちゃったみたい」
振り返った由希は青白い顔だった。
「大丈夫?」
「うん。ちょっと頭痛いだけ」
「今なんかいるの?」
「気配がする。でも、強くはないよ。だから意識的にずらしておけば、軽い頭痛で治まると思う」
「ねえ……あのさ」
「うん?」
珍しく言いよどむ要に、由希は小首を傾げた。訊くのは憚れたが、要は思い切って尋ねた。
「大島さん、視た?」
「……ううん。まだ……。でもわたし、死んだ直後の幽霊に会ったことないかも」
由希は思い当たるように呟く。
「そうなの?」
「げりぴーさんは放っておいて、うちらはビデオカメラのチェック続けよう」
「うん」
二人は、再生したばかりのビデオカメラに目を向ける。ビデオカメラは三台あるため、手分けして観ていくことにした。
しばらくすると映像ではブレーカーが落ちて暗転し、自動的に暗視カメラモードに切り替わった。
「これ、暗視カメラ付なんだ。なんでわざわざ?」
ぽつりと要は呟いた。暗視カメラ機能が付いた物はそれなりに高いし、そもそもわざわざ選ぼうとは思わないのではないか。日常的な動画を撮るぶんには必要のない機能のような気がする。何故、このカメラなのだろう。と、要は思考をめぐらせたが、このカメラを用意したのが大島だったなら、すんなりと納得が行く。
(あとで田中さんにでも訊いてみよう)
要はカメラの映像に集中した。風が吹いた瞬間に、画面が乱れる。
「ん?」
そこで要はカメラを止めた。目を凝らすと、風で僅かに捲りあがったタペストリー(テーブルに掛けてあった布)の隙間から青い物が見える。それは、猪口が消火に使ったバケツに似ていた。
再生ボタンを押すと、すぐに白と黒だけになった映像にノイズが混ざり始めた。激しい音が鳴った途端、映像が途切れてしまった。次に再生されたのは、電気がついた直後だった。
「マージーか。なんの役にもたたないじゃ~ん! 由希の方はどうだった?」
「こっちも同じ。音が鳴った途端にカメラ切れちゃったみたい」
振り返った由希は青白い顔だった。
「大丈夫?」
「うん。ちょっと頭痛いだけ」
「今なんかいるの?」
「気配がする。でも、強くはないよ。だから意識的にずらしておけば、軽い頭痛で治まると思う」
「ねえ……あのさ」
「うん?」
珍しく言いよどむ要に、由希は小首を傾げた。訊くのは憚れたが、要は思い切って尋ねた。
「大島さん、視た?」
「……ううん。まだ……。でもわたし、死んだ直後の幽霊に会ったことないかも」
由希は思い当たるように呟く。
「そうなの?」