怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
第三章
由希は、実際に交霊会中に舌のない幽霊が現れた際にも声を聞いたが、何を言っているのかは聞き取れなかったらしい。ただ、かなり殺気立っていて強い気を感じ、由希は卒倒した。波長を合わせないようにしていたのに視えたことからも、かなり強い思念がある霊だろうと由希は不安げな表情で話した。要はそれを聞き終わると、最後のビデオカメラに手を伸ばし、再生ボタンを押した。
最後のカメラは正面から撮られた物だった。それを観て、要は確信した。
「やっぱり。これ、大島さんが仕掛けたカメラだよ。見て」
要は残りの二台も再生した。
「ほら。どのカメラのアングルも、大島さんにピントが合うようになってる」
「本当だ」
要の言うと通り、三台のカメラはいずれも大島を中心に映していた。
「あっ。また消えた」
三代目のカメラの映像は、他の二台より少しだけ長く映っていたが、何人かが手を離した直後に映像は切れてしまった。要は少しだけ巻き戻す。ロウソクが消えて、カメラが暗視カメラモードに切り替わる僅か数十秒間、カメラは本当の闇に包まれる。何も見えない黒い画面の中、水が跳ねる音が微かに聞こえた。その直後、暗視カメラモードに切り替わった。
(今の音、あたし生でも聞いたな……。水がかかる音。なんでそんなのが?)
「多分、あの男の人がカメラに影響を与えたんだと思う」
思考から戻されて、要は顎を引く。
「そっかぁ。霊と電子機器の相性って最悪なんだっけ……。とりあえず、お茶でも飲む?」
「そうだね」
これ以上映像を観察しても収穫は望めそうにないと見切りをつけて、要はお茶を作りにキッチンへ向った。由希は律儀にも田中にもお茶を飲むかを訊きにトイレへ向った。
離れた距離から由希の声が聞こえてきた。
「田中さん。大丈夫ですか?」
由希の優しい声を訊きながら、キッチンの前まで来ると途端に勝手口の窓ガラスが光った。一瞬びくっと肩を竦めたが、すぐに外のセンサーが何かに反応したのだと気づいた。
最後のカメラは正面から撮られた物だった。それを観て、要は確信した。
「やっぱり。これ、大島さんが仕掛けたカメラだよ。見て」
要は残りの二台も再生した。
「ほら。どのカメラのアングルも、大島さんにピントが合うようになってる」
「本当だ」
要の言うと通り、三台のカメラはいずれも大島を中心に映していた。
「あっ。また消えた」
三代目のカメラの映像は、他の二台より少しだけ長く映っていたが、何人かが手を離した直後に映像は切れてしまった。要は少しだけ巻き戻す。ロウソクが消えて、カメラが暗視カメラモードに切り替わる僅か数十秒間、カメラは本当の闇に包まれる。何も見えない黒い画面の中、水が跳ねる音が微かに聞こえた。その直後、暗視カメラモードに切り替わった。
(今の音、あたし生でも聞いたな……。水がかかる音。なんでそんなのが?)
「多分、あの男の人がカメラに影響を与えたんだと思う」
思考から戻されて、要は顎を引く。
「そっかぁ。霊と電子機器の相性って最悪なんだっけ……。とりあえず、お茶でも飲む?」
「そうだね」
これ以上映像を観察しても収穫は望めそうにないと見切りをつけて、要はお茶を作りにキッチンへ向った。由希は律儀にも田中にもお茶を飲むかを訊きにトイレへ向った。
離れた距離から由希の声が聞こえてきた。
「田中さん。大丈夫ですか?」
由希の優しい声を訊きながら、キッチンの前まで来ると途端に勝手口の窓ガラスが光った。一瞬びくっと肩を竦めたが、すぐに外のセンサーが何かに反応したのだと気づいた。